ガラス固化試験の未経験者増 習熟訓練に社員派遣/原燃

溶融炉上部からガラス溶液の表面を確認する作業員=14日、茨城県東海村
溶融炉上部からガラス溶液の表面を確認する作業員=14日、茨城県東海村
2021年度上期とする使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の完工目標に向け、日本原燃は昨年12月から今年2月まで、日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)へ社員を派遣し、ガラス固化体製造技術の習熟訓練を行っている。ガ.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 2021年度上期とする使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の完工目標に向け、日本原燃は昨年12月から今年2月まで、日本原子力研究開発機構の核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)へ社員を派遣し、ガラス固化体製造技術の習熟訓練を行っている。ガラス固化は06年に開始したアクティブ試験(試運転)で不具合が発生し、再処理工程の中で唯一、国の使用前検査を終えていない。固化体製造試験の未経験者が年月の経過と共に多くなる中、技術継承が安定操業の鍵を握る。14日に訓練の様子を報道陣に公開した。[br] 使用済み燃料から、再利用するプルトニウムやウランを取り除いた高レベル放射性廃液。1万年以上の生活環境からの隔離が必要とされ、安定した状態を長く保つガラスと混ぜ、ステンレス製の容器(キャニスター)に入れて300メートルより深い地層で処分することとなっている。[br] 原燃は07年11月から試運転の一環で固化体製造試験を始めたが、ガラス溶融炉の底部で高レベル廃液に含まれる白金族が堆積するなどの不具合が発生した。原因究明と運転方法の改善に時間を要し、二つの溶融炉での製造試験を終えたのは13年5月。それ以降、溶融炉は運転していない。[br]   ■    □[br] 原燃は昨年12月から、3年程度の若手と10年以上の中堅合わせて18人を協力会社への出向という形で派遣し、東海村の施設で習熟訓練を続けている。[br] 訓練で使用するモックアップ溶融炉は再処理工場の溶融炉と同じ規模で、09~11年には同試験での不具合も検証した。白金族などが入った放射性のない模擬廃液に、1、2ミリ大のガラスビーズを炉内で混ぜ、遠隔で運転管理を行う。[br] 同試験を初めから経験した、原燃のガラス固化課の山﨑淳司課長は「ガラス温度だけでも7点あり、データの量が多い。重要なポイントをいかに把握していくかが重要だ」と説明する。[br] 不具合の要因となった白金族は電気抵抗が少なく、電極による加熱性が低い。そのため、白金族を底部にためないよう、ガラス溶液上部を約1200度に維持する温度管理の徹底が重要となるという。[br] また、炉内の温度維持には「仮焼層」と呼ばれる溶液表面の管理も必要という。炉内空気は約600度。仮焼層は溶液の熱が空気へ逃げるのを防ぐ“落としぶた”の役割を果たす。[br]   □    ■[br] 「ガラス固化技術を確立することができたと考えている」。増田尚宏社長は1月の定例会見で、こう強調した。原燃は同試験での不具合について、▽固化体10本を製造する度に模擬溶液による炉内洗浄の実施▽炉内の温度計(2点)を計7点に追加―といった対策を講じた。炉内の傾斜角度を上げて流れやすくした新型炉も既に開発済みだ。[br] 一方、ガラス固化に携わる作業員約50人中、3割が同試験の未経験者となった。山﨑課長は「他の工程も重要だが、廃液処理(ガラス固化)技術は各国でも苦労し、日本では機構と原燃しか持っていない。しっかり技術力を高め、伝えていくことが大事だ」と話す。[br] 11年3月の福島第1原発事故の影響で使用前検査が先送りされ、新規制基準への適合性審査が長期化する中、悪戦苦闘した経緯のある固化技術の伝承は、原燃にとって至上命令だ。[br] 原燃は4月以降、固化以外の再処理工程の作業員を、フランスのラ・アーグ再処理工場に派遣する。六ケ所村の再処理工場操業までに、原燃は操業体制を構築する必要がある。溶融炉上部からガラス溶液の表面を確認する作業員=14日、茨城県東海村