【八戸三社大祭】長横町粋組の中居さん、57歳で山車制作責任者デビュー

57歳の“オールドルーキー”で初の制作責任者を務めた中居啓悦さん=1日、八戸市十三日町
57歳の“オールドルーキー”で初の制作責任者を務めた中居啓悦さん=1日、八戸市十三日町
八戸三社大祭の花形でもある豪華絢爛(けんらん)な全27台の山車の競演。近年は若手制作者の台頭が目立ち、各山車組で世代交代が進む中、長横町粋組は57歳の“オールドルーキー”が制作責任者の座に就いた。大役を任せられた中居啓悦さんは、平成の始まり.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 八戸三社大祭の花形でもある豪華絢爛(けんらん)な全27台の山車の競演。近年は若手制作者の台頭が目立ち、各山車組で世代交代が進む中、長横町粋組は57歳の“オールドルーキー”が制作責任者の座に就いた。大役を任せられた中居啓悦さんは、平成の始まりとともに山車作りに加わり、令和となった今年、初の制作トップに。選んだ題材は、組に初めて参加した時に最優秀賞を受賞した伝統の七福神。「自分の30年間の全てを注ぎ込んだ」と自信の出来栄えに胸を張る。[br] 幼いころから同市長横町で育った中居さん。ただ当時は山車組はなく、祭りへの関心はほとんど持っていなかった。上京して就職したが、27歳の時に帰郷。都会暮らしも長く、久しぶりの田舎の暮らしはどこか退屈だった。[br] そんなころ、友人との会話で、長横町が山車組を作っていたことを知った。「これは楽しめそうだな」。一気に火が付き、知人を頼って山車組に加わった。[br] 当初はお囃はや子しの方に興味があったが、初めて参加した年に最優秀賞を獲得したことで、山車づくりに楽しさを見出した。沸き上がるさまざまなアイデア―。自分の理想通りに人形のポーズが決まった時はとにかくうれしくて、作ることに夢中になった。[br] 今年2月、山車組責任者の菅原鉄也さん(40)から制作トップ就任の打診を受けた。「良い機会だと思ったし、信頼できる仲間がいた」。断る理由はなかった。[br] 一度しか使わなかった人形や機材など、小屋に眠る「宝」たちも次々と引っ張り出し、今回の山車づくりに活用。時間も短縮して作業効率を高めるよう呼び掛けるなど、次々と“中居流”を打ち出しながら、思い描いた伝統の祝い山車を作り上げた。[br] お通りが行われた1日、大勢の市民や観光客が詰め掛けた市中心街に、全山車組のトリとして登場。令和への改元を祝う山車に大きな拍手が送られ、仕掛けを展開すると、さらに大きな喝采が沸き起こった。[br] 「もうちょっとこうすれば良かったかなと、正直悔しさもある」と中居さん。「けど、仲間や子どもたちが楽しそうに祭りに参加してくれたのが何より。自分に合格点をあげたい」。晴れやかな笑みを浮かべた。57歳の“オールドルーキー”で初の制作責任者を務めた中居啓悦さん=1日、八戸市十三日町