【ツイセキ!あなたの疑問】八戸圏域の水道料金なぜ高い?

電気やガスと並び、日々の暮らしに欠かせない水道。重要なライフラインの一つだが、料金は地域によって異なり、一般的には人口密度が高い大都市の方が地方よりも安価な傾向にある。例えば東京から八戸市に移住した人が「水道代が高くなった」と感じるのはその.....
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 電気やガスと並び、日々の暮らしに欠かせない水道。重要なライフラインの一つだが、料金は地域によって異なり、一般的には人口密度が高い大都市の方が地方よりも安価な傾向にある。例えば東京から八戸市に移住した人が「水道代が高くなった」と感じるのはそのためだ。八戸と近隣6町では八戸圏域水道企業団が独立採算制の水道事業を担っているが、料金は近隣地域と比べて高額だ。なぜ他よりも高いのか? 割高な背景には、広域ならではの“事情”が浮かび上がった。[br][br] 水道料金は同じ青森県内でも格差がある。2、3人暮らし世帯の標準的な料金(税込み、水道メーターの口径20ミリ)は、1カ月当たり20立方メートルを使用した場合、八戸圏域水道企業団管内では4961円に上る。[br][br] これに対し、本紙取材では三沢、青森、弘前の県内各市や盛岡市は3千円台。東京23区の2816円と比較すれば、企業団は2千円以上も高い計算だ。実は、県内は津軽地方の自治体を中心に、全国的に見ても料金が高額な地域とされる。[br][br] 約3年前に東京都世田谷区から八戸にUターンした女性会社員(36)は「都内より水道代が高くて驚いた。地方は都会より物価が安いという原理は、水道には当てはまらないことを知った」と苦笑いする。[br][br] 水道事業は独立採算制が基本で、主に料金収入で経営する。その料金は水源からの距離や地形、水質といった地理的要因をはじめ、人口密度、水源開発の費用などの条件を総合的に勘案して設定されている。人口が密集する東京23区は配水効率が良く、安価な使用料を可能にしているようだ。[br][br] 八戸圏域水道企業団はどうか。1986年設立で、現在、八戸、三戸、五戸、階上、南部、六戸、おいらせの7市町で構成。給水需要が高まる中、当時の11市町村が水道事業を統合し、将来の水資源確保を目的に広域事業をスタートさせた。水源として、世増ダムの開発にも乗り出した。[br][br] 広域経営に伴う第1期拡張事業では、ダム開発の負担金を含む総事業費が約668億円に上り、企業団は約188億円の企業債(債務)を発行。この初期投資に加え、事業運営のために毎年億単位で起債しており、料金収入で債務を償還していく必要がある。[br][br] 事業エリアが広いことも料金が高額になる一因。水源は馬淵川、新井田川、蟹沢(湧水)、三島(浅井戸)の四つで、水道管の総延長は2千キロ。高低差がある地形や人口密集度の低さといった要因も絡み、配水は効率的ではない。[br][br] さらに、持続可能な運営には、老朽化した水道管や設備の更新が重要。2009年の元日に大規模断水が起きた苦い経験もあり、適切な維持管理が不可欠だ。[br][br] とはいえ、生活インフラの料金は「少しでも安く」が市民感情。それでも人口減少を背景に、全国的には値上げした自治体もある。[br][br] 企業団は第4次水道事業総合計画(19~28年度)で、最終年度までの料金据え置きを掲げ、減少が見込まれる収入に見合った維持管理を進める方針を示した。村上昇事務局長は「収入内で最大の効果を発揮できる投資を検討していく。料金の据え置きを前提とし、利用者の負担にならないようにしたい」と話している。