合宿や交流、コロナで厳しく 東京五輪・パラのホストタウン事業 

 ホストタウン事業を断念した自治体の例
 ホストタウン事業を断念した自治体の例
東京五輪・パラリンピックを機に海外選手らと交流するホストタウン事業が厳しい現実に直面している。政府は、45自治体が事前合宿や交流計画を断念したことを確認。海外から来日する選手らが全国各地へ移動することによる新型コロナウイルス感染のリスクや対.....
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 東京五輪・パラリンピックを機に海外選手らと交流するホストタウン事業が厳しい現実に直面している。政府は、45自治体が事前合宿や交流計画を断念したことを確認。海外から来日する選手らが全国各地へ移動することによる新型コロナウイルス感染のリスクや対策の困難が理由だ。事業には全国で528自治体が手を挙げているが、今後も断念が相次ぐ懸念がある。[br][br] 政府によると、45自治体のうち32は相手国から中止の申し入れがあった。千葉県での合宿を取りやめた米国陸上競技連盟は「選手の安全面に懸念が生じている」ことを理由に挙げた。[br][br] 自治体側が受け入れ態勢を整えられなかった例もある。ホッケーのインド代表の事前合宿中止を決めた島根県奥出雲町は、コロナ対策に必要な人員を確保できないと判断した。検査態勢の確保、貸し切りが原則の宿舎や移動手段の手配など、費用は国の支援を受けられるが、人手の少ない小規模な自治体の負担は大きい。[br][br] 予定通り受け入れる自治体も予想以上の困難に見舞われている。宮城県加美町は、チリのパラ選手らが成田空港から移動する手段について、空路や新幹線を断念し、約7時間かかるバスを選択せざるを得なくなった。[br][br] 成田から仙台への定期便はコロナ禍で運休中。車いすの選手も多く、ウイルス検査などを含めた入国手続きの所要時間が見通せないため、新幹線の予約も難しいからだ。担当者は「選手には大きな負担になってしまうが、状況的に致し方ない」と頭を抱えた。[br][br] 政府はホストタウン事業は維持する方針。担当者は「事前合宿が全てではない」と強調し、オンラインでの交流や応援動画の作成などを推奨するが、実行している自治体は一部にとどまる。立憲民主党の尾辻かな子氏は14日の衆院厚生労働委員会で「ホストタウン事業は現実的でないと判断すべき時に来ている」と強い口調で訴えた。 ホストタウン事業を断念した自治体の例