老舗旅館の魅力、ポストカードに コロナ禍で苦境の「新むつ旅館」支援

新むつ旅館の魅力を詰め込んだポストカードを制作したボランティアの星野達郎さん(右)と、おかみの川村紅美子さん=4月中旬、八戸市
新むつ旅館の魅力を詰め込んだポストカードを制作したボランティアの星野達郎さん(右)と、おかみの川村紅美子さん=4月中旬、八戸市
明治時代創業の貸座敷(遊郭)を前身とする、八戸市小中野6丁目の「新むつ旅館」は今春、歴史ある建物や、おかみの川村紅美子さん(82)の笑顔を収めたポストカードを制作し、宿泊客らに販売を始めた。発案したのは市立柏崎小教諭の星野達郎さん(30)。.....
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 明治時代創業の貸座敷(遊郭)を前身とする、八戸市小中野6丁目の「新むつ旅館」は今春、歴史ある建物や、おかみの川村紅美子さん(82)の笑顔を収めたポストカードを制作し、宿泊客らに販売を始めた。発案したのは市立柏崎小教諭の星野達郎さん(30)。新型コロナウイルスの影響に苦しむ老舗をもり立てようと、約1年前から手弁当で支援を続ける。おかみとの絆を深め、ますます旅館のファンになった“助っ人”は「地元の人たちが魅力を見直す機会になれば」と願いを込める。[br][br] 星野さんが旅館を訪れたのは昨年3月。新型コロナの全国的な感染拡大を受け、家族旅行の行き先を近場に変更したのがきっかけだった。もともと古民家好きで、120年以上前に造られた建物の美しさに引かれた。何より川村さんの明るい笑顔が印象的だった。[br][br] 一方で国有形登録文化財ながら、後継者が未定のため、公的な補助なしで修繕し、営業を続ける苦労も知った。80歳を超えてもなお1人で切り盛りし、老舗ののれんを守る、おかみの覚悟に心が動いた。[br][br] 「力になりたい」。星野さんは宿泊後に再び旅館を訪れ、手伝いを申し出た。だが、新型コロナの影響で宿泊キャンセルが相次ぎ、仕事がないと固辞された。それでも足しげく通い、持続化給付金の申請の手助けなどできることを探した。[br][br] 信頼関係を築くと、インスタグラムの開設など旅館のPRを買って出た。そこで目の当たりにしたのは、全国に熱心なファンがいる半面、地元で認知度が低いこと。歯がゆさを覚えた。[br][br] 新たに企画したのが、手に取りやすいポストカードでの情報発信だった。利用客らの意見を参考に、秋ごろから制作を始めた。[br][br] ポストカードは今年3月に完成。雨にぬれた趣ある外観や、特徴的なY字型の階段、歴史が宿る客室、笑顔の川村さんの写真を印刷した4枚のはがきに63円切手2枚を添えて、1組500円(税込み)で、宿泊客や見学客に販売する。[br][br] 星野さんの奮闘は現場を元気付ける。「年を取っても、こんなにすてきな友だちができるなんて」と川村さん。孫ほど年齢の離れた友人の頼もしい背中に目を細め、続ける。「おかみとしてまだまだ頑張らないとね」新むつ旅館の魅力を詰め込んだポストカードを制作したボランティアの星野達郎さん(右)と、おかみの川村紅美子さん=4月中旬、八戸市