八戸市長、4期目任期半年 「ハコ物」経費に厳しい視線 

小林市政で誕生した八戸市中心街の大型公共施設(写真はコラージュ。左上から時計回りに、市立屋内スケート場、はっち、八戸ブックセンター、マチニワ。中央は開館を控える新美術館)
小林市政で誕生した八戸市中心街の大型公共施設(写真はコラージュ。左上から時計回りに、市立屋内スケート場、はっち、八戸ブックセンター、マチニワ。中央は開館を控える新美術館)
小林眞八戸市長(71)の4期目の任期が16日で残り半年となった。2017年11月からの今任期中は、中心街のマチニワや市立屋内スケート場など大規模な公共施設が完成した一方、新型コロナウイルスの影響で税収減や経済対策への財政出動など過去にない難.....
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 小林眞八戸市長(71)の4期目の任期が16日で残り半年となった。2017年11月からの今任期中は、中心街のマチニワや市立屋内スケート場など大規模な公共施設が完成した一方、新型コロナウイルスの影響で税収減や経済対策への財政出動など過去にない難題に直面している。今秋には新美術館の開館が控えており、中心街に立地する大型施設の年間維持管理費は計約6億2千万円に上る見込み。新型コロナ対応に備えた財政運営が重視される中、いわゆる「ハコ物」の是非を巡る議論は小林市政を象徴する一つだ。小林氏は5選出馬の態度を明らかにしていないが、残る任期中はコロナ対策に全力を挙げる姿勢を示す。[br][br] 05年10月の市長選で初当選した小林氏は、衆院選や市議補選とのトリプル選となった17年10月の市長選で4選を果たした。自身が市政のかじ取り役を担って以降、中心街への集中投資を進め、はっち、八戸ブックセンター、マチニワ、屋内スケート場を開設した。[br][br] これらに新美術館を加えた5施設の維持管理費として、市は21年度一般会計当初予算に計約6億2400万円を計上。施設運営に関わる人件費も含めれば、経費は一層膨らむ。新美術館の維持管理費は約1億1千万円と見込んだものの、通年営業となる22年度以降はさらに増大する見通しだ。[br][br] 大型施設の整備に関し、小林氏は「施設の財政面は維持管理費だけでなく、建設費の償還を含めた全体で見る必要がある」と指摘。各施設の建設には国や青森県の有利な財源を活用したとし、「トータルで捉えた財政計画を立てており、財政に影響が出ないようにしている」と理解を求める。新たな施設の誕生により、にぎわいや経済波及効果が生まれたとの見解も示す。[br][br] 小林氏の施設整備事業には賛否があるが、市第3魚市場荷さばき施設A棟の稼働低迷と共に厳しい視線が注がれている。市財政の負担になるとして、市議会の野党会派は「他の重要施策に予算が回らない」「市民の負担増が懸念される」と批判の声を強める。[br][br] 21年度当初予算は、歳入の柱である市税が前年度当初比5・1%減、金額にして15億円も落ち込むなど、地域経済が疲弊するコロナ禍での財源確保は重い課題だ。「貯金」に当たる基金残高は41億円と市が指標に掲げる50億円を下回り、過去10年間で最低となっている。[br][br] 財政に十分な余裕がないため、新型コロナの経済再生対策や事業者支援の財源確保に影響が及んだとの見方もあり、地元経済界には「他の自治体よりも対応が遅い」と不満がくすぶる。[br][br] 一方、企業誘致を中心とした産業振興政策は、市議会の与野党を問わず小林氏の手腕を認める声が多い。11~19年度の企業誘致件数は年間4~6件の水準を維持し、コロナ禍の余波が広がった20年度も3件と堅調だった。[br][br] 小林氏を支援する自民党系の最大会派「自民・市民クラブ」の幹部は「さまざまな産業振興策を打ち出し、企業誘致で雇用も拡充した。政策全般でも限られた予算の中で市勢を前進させて成果を出している」と評価する。[br][br] 小林氏が5選出馬の有無を明言しない中、前回の市長選で掲げた4期目の政策公約の達成状況調査は4月下旬にスタートした。残る任期中の市政運営について小林氏は「コロナ対策にしっかりと取り組み、現状ある各種政策を着実に進めていきたい」と強調する。小林市政で誕生した八戸市中心街の大型公共施設(写真はコラージュ。左上から時計回りに、市立屋内スケート場、はっち、八戸ブックセンター、マチニワ。中央は開館を控える新美術館)