日本の新型コロナウイルスワクチン接種の遅れが際立っている。英オックスフォード大などによる16日までの調査で、少なくとも1回投与された人の割合は約3%にとどまり、世界平均の約9%に及ばない。接種体制の整備遅れから、発展途上国レベルの世界110位前後に低迷。接種が進み、普段の生活を取り戻しつつある欧米とは対照的だ。[br][br] 政府は東京五輪開催を目指しワクチン入手と接種加速を強調するが、欧米からは「一大感染イベント」になりかねないとして中止を求める論調が強まる。米紙ニューヨーク・タイムズは「危険なまやかしをやめるときだ」との寄稿を掲載した。[br][br] 世界の接種回数は同大などの14日時点の調査で約14億回。日本は13日時点で約560万回にとどまる。高齢者接種が本格化し、近く新たなワクチンが承認される見通しだが、現時点では米ファイザー製のみの使用で、注射を担う医師らの不足や、電話予約殺到による混乱が続く。機能不全状態は「壮大なオウンゴール」(米紙)とも批判される。[br][br] 日本以外の先進7カ国(G7)はいずれも既に複数のワクチンを承認し、少なくとも1回接種した人の割合は25%を超える。日本は「先進国クラブ」とも称される経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国中で最低水準となっている。[br][br] 約46%の米国は接種完了から2週間経過すればマスク着用が原則不要。約53%の英国は17日から飲食店の屋内営業や映画館などを再開、順調なら6月に大半の規制を解く予定だ。現在も緊急事態宣言を発令中の日本との違いは著しい。[br][br] 日本と同水準の国は、チュニジアやガーナ、ミャンマーなどアフリカやアジアに多い。途上国での接種率の低さは、資金力の乏しさが一因。世界の接種の大半は高所得国が占め、世界保健機関(WHO)は4月下旬、低所得国での投与は0・3%にとどまると指摘した。ワクチン供給の国際枠組み「COVAX(コバックス)」が頼みの綱だが、供給元のインドは感染急拡大で輸出を制限した。(共同)