東京パラリンピックは16日で開幕まで100日。新型コロナウイルスの感染再拡大で機運は高まらず、緊急事態宣言を繰り返す深刻な状況にも開催の姿勢を崩さない政府や大会組織委員会への批判は強まる一方だ。選手たちは複雑な思いを抱えながらも活躍の場が与えられることを信じ、準備を進めている。[br][br] 女子の義足ジャンパーで世界女王としてパラに臨む中西麻耶(阪急交通社)は、逼迫(ひっぱく)する医療体制に思いを寄せ「(国民に)迷惑をかけたくない、と思っているのは、アスリート自身だと感じている」と苦しい胸中を打ち明けた。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪・パラの感染対策をまとめた「プレーブック(規則集)」で選手の行動を厳しく制限。中西は「ルールを決めれば、海外選手もしっかり従うと思う」と実感を込めた。[br][br] 観客や大会関係者の大幅減や各国選手団へのワクチン提供、大会時の医療従事者の確保などコロナ対策が次々に打ち出され、各競技で予選が再開して出場枠争いが大詰めを迎えている。団体競技は1次リーグ組み合わせ抽選が続々と実施され、池透暢主将(日興アセットマネジメント)を中心に金メダル獲得が期待される車いすラグビーや車いすバスケットボール、ゴールボールで日本の対戦相手が決まった。[br][br] 過去最大規模が予想される日本選手団は80人以上が内定。予断を許さない状況が続く中で自らを追い込む。車いす陸上で世界記録を引っ提げて2冠を狙う佐藤友祈(モリサワ)は「モチベーションを下げる余裕や時間はない」と前を向き、進行性の難病を抱えながら車いすを走らせる57歳の伊藤智也(バイエル薬品)は「開催するとなれば、多くの方に力を貸してもらえる大会だと思う」と祈るように話した。