【いざTOKYOへ】車いすバスケ審判の小野さん プレーヤー目線大事に大舞台へ

タイで行われた女子U25世界選手権で笛を吹く小野裕樹さん(中央)=2019年5月
タイで行われた女子U25世界選手権で笛を吹く小野裕樹さん(中央)=2019年5月
青森県立八戸第二養護学校教諭で、国内でも数人しか資格を持たない車いすバスケットボール国際審判員の小野裕樹さん(45)が、8月24日に開幕する東京パラリンピックで審判を務める。大舞台で大役を担うことになり、期待と不安が入り交じる中、「プレーヤ.....
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青森県立八戸第二養護学校教諭で、国内でも数人しか資格を持たない車いすバスケットボール国際審判員の小野裕樹さん(45)が、8月24日に開幕する東京パラリンピックで審判を務める。大舞台で大役を担うことになり、期待と不安が入り交じる中、「プレーヤーでもある自身の経験を生かして、いつも通りのパフォーマンスをしたい」と笛を吹く日を心待ちにしている。[br][br] 小野さんが車いすバスケに出合ったのは約20年前。当時、青森市内の養護学校教諭として車いすを使う生徒と接するうちに、健常者の自分が生徒の気持ちを理解するには、自ら障害者スポーツの世界に飛び込むのが一番と決意。中でも自身が学生時代に熱中したバスケットボールを車いすで行う競技に挑戦した。[br][br] 市内のチームに選手として所属し、障害者と一緒に汗を流す中で、車いすバスケの活性化や知名度向上に貢献したいとの思いを強くした。やがて県内に車いすバスケの審判員の資格を持つ人がいないことを知り、資格取得を目指すことにした。[br][br] その後、仕事と両立しながら段階的に国内の資格を取得。自身の強みでもあるプレーヤー目線を大事にしながら、判定する力を磨いた。苦手とした英語力も養い、2017年に厳しい試験を突破し、国際審判員の資格を手にした。[br][br] 19年12月、国際車いすバスケットボール連盟から思わぬ吉報が届いた。パラ五輪で審判をしてほしいという“招待状”だった。ジャッジする審判団26人のうち、日本人はわずか2人。「うれしさよりも、しっかりと成し遂げなければ」と責任の重さを感じたという。[br][br] 車いすバスケの試合は、選手が自身の“脚”である車いすを自在に操り、激しい攻防を展開する。車いす同士の接触も多いため、審判は試合のルールのほかに接触プレーに関する細かい取り決めも把握する必要がある。的確にジャッジするには、数多くの場数を踏むことが重要だ。[br][br] しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、その機会は奪われた。本来は本番までに世界大会の経験を積みたかったが難しい状況に。ただ、「どんな大会でも、いつも通りに準備することが重要」と考え、地道に県内で活動に取り組んできた。[br][br] パラ五輪が100日後に迫る中、「ホスト国として、来てくれた選手や関係者に『良い大会だった』と思ってもらえるようベストを尽くしたい」と気合十分。「表彰台で日の丸が一番高い所に揚がってて、多くの人が障害者スポーツに関心を持ってくれたらうれしい」と願いを込める。タイで行われた女子U25世界選手権で笛を吹く小野裕樹さん(中央)=2019年5月