【青銀、みち銀経営統合】生き残りへ“窮余の策” 問われる顧客本位

青森銀行とみちのく銀行を巡る動き
青森銀行とみちのく銀行を巡る動き
半世紀以上、顧客獲得にしのぎを削ってきた青森銀行とみちのく銀行は、地域経済が縮小する中、競争によるこれ以上の体力の消耗戦を回避し、手を取り合うことで生き残る道を選択した。貸出金のシェアで青森県内トップの青銀でさえ、減収傾向が止まらない。一方.....
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 半世紀以上、顧客獲得にしのぎを削ってきた青森銀行とみちのく銀行は、地域経済が縮小する中、競争によるこれ以上の体力の消耗戦を回避し、手を取り合うことで生き残る道を選択した。貸出金のシェアで青森県内トップの青銀でさえ、減収傾向が止まらない。一方のみち銀は公的資金の返済を抱えるなど、より厳しい経営状況にある。両行は基盤強化のための“窮余の策”として経営統合に動きだした。[br][br] 人口減少や低金利政策の影響を受け、両行の本業のもうけを示す「コア業務純益」は減少傾向で、全国でも下位に沈む。新たな収益源確保や経費削減の努力を続けてきたが、大きな利益を生むには至らず、単独経営の限界が近づいていた。[br][br] 特に、2009年に200億円の公的資金注入を受けたみち銀は苦境にあえいでいた。19年には函館地区で大型の取り立て不能が相次ぐなどして与信費用が大幅に増加。20年3月期決算は11期ぶりの赤字に追い込まれた。[br][br] 21年3月期は黒字に転換したが、公的資金を返済するまでの利益は生み出せていない。返済原資を得るには、新株を発行し企業などに引き受けてもらうのが現実策だが、簡単に引き受け手が見つかる状況にはない。[br][br] 統合を選択すれば、経費削減が進み、資金に余裕が生まれる。みち銀は返済不能という最悪のシナリオを回避できる。一方の青銀も過度の競争を避けられる利点がある。[br][br] だが、統合は手段にすぎない。持続可能な地域経済のために、経営基盤を強化するのが本来の目的だ。将来的な合併を視野に入れる今回の再編が延命策にとどまるようでは、結果的に県経済の衰退を招くことになると指摘したい。[br][br] 両行の経営統合案は昨年9月、菅義偉首相(当時は官房長官)が「地銀の数は多過ぎる」と発言した直後に浮上した。政府の思惑がにじむ再編だが、両行頭取は会見で中央主導を否定し、「地域のための選択だ」と意義を強調した。[br][br] 問われるのは顧客本位の姿勢だ。地域経済に貢献する行動と結果で、統合が主体的選択であることを証明してほしい。青森銀行とみちのく銀行を巡る動き