国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する取り組みが、青森県内の企業や団体、教育機関の間で広がりを見せている。[br][br] 2015年に採択されたSDGs。飢えや貧困の解消、不平等の是正、気候変動対策など17分野の目標が定められ、各国が達成期限の30年に向けて取り組みを推進し、企業や自治体、市民にも行動を求めている。[br][br] 世界情勢はコロナ禍や紛争など多くの課題を抱え、実現には困難が伴うことも直視しなければならないが、持続可能な都市づくりや、働きがいのある雇用の促進など未来の目標に向かい歩みを進める必要がある。[br][br] 県内では、八戸市の水産関係団体が八戸港版SDGs推進宣言を行い、市と連携して海底ごみの回収などを行っている。[br][br] 大学やNPOはフォーラムや学習会などを開催。学生や一般を対象とし、持続可能なまちづくり、健康や福祉の在り方、環境問題などをテーマに理解を深め合っている。農村地域の調査に乗り出している大学もある。[br][br] 金融機関はSDGsの理念を踏まえて地域の課題解決を目指したり、企業と連携して学校に備品を寄贈したりしている。[br][br] 注目したいのは子どもたちの活動だ。県立名久井農業高の生徒は食糧生産に関する継続的な研究が評価され、「ジャパンSDGsアワード」の内閣官房長官賞を受けた。[br][br] この研究は穴を掘って雨水をためるアフリカの農法に、土間を固くする日本の技術を応用して耐久性を高める方法などを考案した。国際コンテスト「ストックホルム青少年水大賞2020」で最高賞に輝いている。[br][br] 病気や事故で頭髪を失った人に自身の伸ばした髪を寄贈する「ヘアドネーション」に取り組む子どもたちも、地域で見られるようになってきた。 スタート段階で意識していなくとも、さまざまな活動がSDGsに結び付く。子どもたちが世界に目を向けて独自の研究で成果を挙げ、人の役に立とうと行動する姿は頼もしい。[br][br] SDGsは明るい未来を築くための目標。将来を担う世代にこそ知ってほしい。そこから広い視野を持った人材が育つことを期待したい。[br][br] 国連の目標と言えば、個人とは縁遠いイメージもあるが、資源回収に協力したり、海岸の清掃活動に参加したりすることなども理念に合致する。小さな行動の積み重ねが、やがて大きな一歩となる可能性がある。[br][br] まずはSDGsを知り、身近なことから考えてみよう。