天鐘(5月1日)

今日から5月。コロナ禍で気分は晴れないが、いよいよ新緑の季節である。八戸地方は一昨日夕から雨が降り、昨日の朝方は濡れた木々の葉が一層まぶしく目に映った▼陽光を浴びて光る若葉もいいが、ひと降りに冴(さ)える緑も趣深い。この時季の雨を意味する語.....
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 今日から5月。コロナ禍で気分は晴れないが、いよいよ新緑の季節である。八戸地方は一昨日夕から雨が降り、昨日の朝方は濡れた木々の葉が一層まぶしく目に映った▼陽光を浴びて光る若葉もいいが、ひと降りに冴(さ)える緑も趣深い。この時季の雨を意味する語に「緑雨(りょくう)」がある。自然の命のみずみずしさを引き立てるような美しい呼び名だ。〈一枝のゆらぎ遠目に緑雨かな〉黒田咲子▼その独特な風土によろう。日本で雨を言い表す言葉は400以上あるという。「緑雨」と同義で「翠雨(すいう)」「青葉雨(あおばあめ)」が。色に例えたものでは、春の花を打つ「紅雨(こうう)」、夕立を指す「白雨(はくう)」というのもある▼農耕の暮らしに雨は欠かせない。人々は古くから天の恵みに感謝し、その様子や音にまで感性を研ぎ澄ませた。けれども、近年の気候変動が降らせるのは風流な雨ばかりではない。いまや人命を脅かす土砂降りもある▼気象庁は今年から、継続的に大雨をもたらす線状降水帯の情報を発表するという。雨の帯をいち早くとらえ、周知する。熊本や西日本の豪雨災害は記憶に新しい。上空をにらむ新たな武器に期待がかかる▼空が黒くなってしまうほどの激しい雨を「黒雨(こくう)」と言うらしい。その名を聞くほどに恐ろしくもなるが、そうした容赦ない降り方は珍しくなくなった。情報は梅雨のころからの運用という。今年は雨の色が、いつも以上に気になってくる。