時評(4月28日)

新型コロナウイルス対策や「政治とカネ」問題が争点となった衆院北海道2区、参院長野選挙区の両補欠選挙と、参院広島選挙区再選挙は、自民党が全敗した。菅義偉首相にとって昨年9月の就任後、初の国政選挙だっただけに、求心力低下は避けられそうもない。 .....
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 新型コロナウイルス対策や「政治とカネ」問題が争点となった衆院北海道2区、参院長野選挙区の両補欠選挙と、参院広島選挙区再選挙は、自民党が全敗した。菅義偉首相にとって昨年9月の就任後、初の国政選挙だっただけに、求心力低下は避けられそうもない。[br][br] 北海道2区は鶏卵汚職事件で在宅起訴された吉川貴盛元農相の議員辞職によるもので、自民党は勝算がないと判断し候補擁立を断念。複数の保守系が立候補したが、主要野党が推した立憲民主党の元職が大勝した。[br][br] 参院2選挙区は、自民公認で公明党推薦の与党候補と、立民、共産両党などによる野党共闘候補の対決となった。長野は立民の羽田雄一郎元国土交通相のコロナ感染による死去に伴う補選で、与党側は「弔い合戦」の“壁”を崩せなかった。[br][br] 参院広島は最後までもつれたが、野党系候補が3万票以上の差で勝利した。2019年参院選で、自民党は公選法違反(買収)で有罪が確定、当選無効となった河井案里前参院議員(自民離党)ら2人を擁立、合わせて56万票超獲得したのに比べ、23万票近く減らした。[br][br] 共同通信社の出口調査によると、参院広島では投票行動を決める際「政治とカネ」を重視した人が最も多く、38・2%に上った。政権内では総務省の違法接待なども表面化しており、不祥事に対する有権者の厳しい視線が裏付けられた格好だ。[br][br] 新型コロナを巡る政府対応には、今月中旬の同社世論調査で「評価しない」が56・5%だった。先月の緊急事態宣言の全面解除、その後の感染再拡大による「まん延防止等重点措置」の適用、そして3度目の緊急事態宣言発令は、その場しのぎと受け止められているのではないか。[br][br] 一方、野党側は共闘が一定の成果を上げたが、参院長野の政策協定を巡っては基本政策の齟齬(そご)を露呈。菅内閣不信任決議案の提出に向けても足並みがそろわず、不安要素を抱えている。[br][br] 今後の焦点は衆院議員の任期満了まで半年を切る中、衆院解散・総選挙の時期だ。菅首相はコロナ対策優先の姿勢を強調し続けており、今度の選挙結果を受け、自民党内でくすぶっていた6月16日の通常国会会期末までの解散論は下火になりつつあるようだ。[br][br] 同党内では菅首相(総裁)の下では衆院選を戦えないとの声が高まる可能性もあり、首相は政権立て直しを迫られる。同時に、会期末までの与野党攻防や与党内の駆け引きも注目していきたい。