【菅首相衆参3選挙全敗】広がる「五輪後」解散論 党内には閉塞感

 衆参3選挙を巡る与野党幹部の主な発言(似顔 本間康司)
 衆参3選挙を巡る与野党幹部の主な発言(似顔 本間康司)
衆参両院3選挙の全敗で、菅義偉首相の足元が揺らいだ。新型コロナウイルスの猛威に翻弄(ほんろう)される中、衆院解散は東京五輪・パラリンピック後に遠のいたとの見方が与党内で拡大。自民若手は菅首相下での衆院選への不安を口にする。内閣支持率の動向次.....
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 衆参両院3選挙の全敗で、菅義偉首相の足元が揺らいだ。新型コロナウイルスの猛威に翻弄(ほんろう)される中、衆院解散は東京五輪・パラリンピック後に遠のいたとの見方が与党内で拡大。自民若手は菅首相下での衆院選への不安を口にする。内閣支持率の動向次第で首相への不満が噴き出す可能性も否定できない。衆目が一致する「ポスト菅」候補も見当たらず、党内には閉塞(へいそく)感が漂う。[br][br] ▽猛省[br] 「大いに反省しながら、衆院選では必ず勝利するよう頑張りたい」。自民の二階俊博幹事長は全敗した参院広島選挙区再選挙など3選挙から一夜明けた26日の記者会見で、こう強調した。首相も周辺に「しょうがない。理由は分かっている」と漏らした。[br][br]「政治とカネ」問題が発端となった広島などが低投票率となったことを巡り、自民筋は「自民に猛省を促したいが、野党系などに投票するのをためらう人が棄権した」と見立てる。[br][br] 党内では「野党は強気で臨んでくる」と、政権運営を危ぶむ声が続出した。開票を直前に控えた25日夜、二階氏は、森山裕国対委員長らと態勢立て直し策を協議。出席者は口々に「党内が引き締まる。衆院選にとって良いことだ」と強がってみせた。[br][br] ▽筋書き[br] 3敗で衝撃が走った与党内では、首相の解散判断に注目が集まる。首相は26日も「コロナ対策に最優先で取り組む」と語った。その上で、問わず語りに7月中の高齢者へのワクチン接種完了に全力を挙げると訴えた。3選挙から関心をそらしたい思いがにじんだ。[br][br] 衆院解散のタイミングは確実に狭まりつつある。首相の言動を間近で見る政権幹部は「五輪が終わるまで解散はない」と言い切った。自民中堅も「首相の頼みの綱は五輪とワクチン接種だ。これらを成功させ、秋に衆院選という筋書きしかない」と解説。7月4日の東京都議選に合わせた同日選など早期解散論は急速にかすんでいる。[br][br] 3度目の新型コロナ緊急事態宣言発令も「五輪後解散論」を補強する。自民閣僚経験者は「感染収束にいつめどが立つか分からない以上、任期満了に近い選挙にならざるを得ない」と踏む。[br][br] 一方、安倍前政権下で追い風の選挙しか経験がない自民若手の中では「菅降ろし」の高まりを期待する声が少なくない。ある議員は「保守王国の広島でも駄目なら、自分が浮かぶ瀬はない」と焦りを隠さない。[br][br] ただ有力な後継候補はいないのが実情だ。公明幹部も「コロナ禍で内輪もめかと批判される」と指摘する。昨年の総裁選で戦った石破茂元幹事長は自派閥からの離脱者が続出し、岸田文雄前政調会長は陣頭指揮を執った広島再選挙を落とした。[br][br] 重い空気が漂う自民。幹部は自らに言い聞かせるように語った。「首相を代えて勝てる保証もない。局面はいつか変わるはずだ」 衆参3選挙を巡る与野党幹部の主な発言(似顔 本間康司)