天鐘(4月26日)

〈過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ〉とは、間違いに気付いたら体裁にとらわれず、直ちに改めるべきだという戒めで、出典は『論語』。地球温暖化対策の「パリ協定」から離脱した米国が復帰し、新たに中国も加わった▼自国第一主義の米国と新興.....
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 〈過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ〉とは、間違いに気付いたら体裁にとらわれず、直ちに改めるべきだという戒めで、出典は『論語』。地球温暖化対策の「パリ協定」から離脱した米国が復帰し、新たに中国も加わった▼自国第一主義の米国と新興国を理由に一人歩きの中国。二酸化炭素排出量で世界1位の中国(93億トン)と2位米国(48億トン)の両国が、やっと同じテーブルに着いた▼主役を囲み、2030年までの温室効果ガス削減目標という大舞台に向けた役割を論じ合った。不可逆とも言われる温暖化への危機が共有され、ここで米中が一つになれば地球を守ることができるかもしれない―▼米国が05年比50~52%減の目標を示すと、日本46%、EU55%、英国68%と数値が吊り上がる。だが、日本は福島原発事故で石炭火力の依存度が増した13年度、EUと英国も31年前を基準にした削減率である▼基準年がばらばらで〈朝三暮四〉のカラクリが透ける。米国の05年比換算なら英国63%、EU51%、日本44・5%にダウン。パリ協定の目標なら野心的な米国が10ポイント、大きく前進したはずの日本は16ポイントも足りない▼米中など排出国が軌を一にしたことは評価できるが、問題はその中身と本気度。日本も「朧(おぼろ)げながら浮かんだ数字」(小泉進次郎環境相)とまるで“蜃気楼(しんきろう)”だ。わずか9年後の地球に責任を持つ真摯(しんし)な国際政治が見つからない。