コロナ休職者、貴重な戦力に 農場で雇用、青森県がマッチング支援

東北町内の畑で行われているナガイモの春堀り。人手不足のまま収穫の最終盤を迎えている=21日
東北町内の畑で行われているナガイモの春堀り。人手不足のまま収穫の最終盤を迎えている=21日
新型コロナウイルスの影響で休職や減収を余儀なくされた人を、人手不足に悩む繁忙期の農作業現場で雇用する動きが青森県内で広がりを見せている。県も農家と休職者らをつなげるマッチングを支援。賃金や交通費などを補填(ほてん)する国の事業活用を農家に呼.....
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 新型コロナウイルスの影響で休職や減収を余儀なくされた人を、人手不足に悩む繁忙期の農作業現場で雇用する動きが青森県内で広がりを見せている。県も農家と休職者らをつなげるマッチングを支援。賃金や交通費などを補填(ほてん)する国の事業活用を農家に呼び掛け、生産力維持と雇用確保の両立に力を入れる。[br][br] ナガイモの春掘り作業が最終盤を迎えている東北町。近年は中国人実習生を頼り、労働力不足に対応してきたが、新型コロナで昨年に続いて来日がかなわなかった。同町の農家甲地武彦さん(65)は「人手が足りず収穫作業が進まない」とこぼす。[br][br] 重労働で「日給1万円でも集まらない」(県内の農業関係者)といわれるナガイモの収穫作業。ゆうき青森農協の農家が人材確保を目的に長年取り組んできた実習生受け入れ事業は、昨年から機能していない。[br][br] こうした中、人手不足を支えるのが、新型コロナで休職や減収を余儀なくされた人たちで、貴重な戦力となっている。[br][br] 甲地さんの畑では、同町で飲食店を営む女性(57)が収穫作業を初めて手伝った。新型コロナで店が開けず、減収したことが契機となった。女性によると、副収入として同業者が収穫を手伝うことは度々あったが、今年はとりわけ多いという。[br][br] 県は20年度から新型コロナの休職者らと農家のマッチング事業に取り組む。同年度は50人の雇用が成立し、ナガイモの収穫作業のほか、リンゴの摘果作業などに携わった。[br][br] 本年度も継続して実施しており、県構造政策課の担当者は「人材を獲得するための窓口を広げておくことは必要。しばらくはマッチング化に取り組みたい」と力を込める。[br][br] 農業分野の雇用対策として、国や一部自治体は賃金などの補助に取り組んでいる。国の「農業労働力確保緊急支援事業」は、コロナ禍で労働力を失った生産者を対象に、500円を上限に時給を補助し、1カ月当たり3万円の交通費支給などを支援する。[br][br] ただ、一部の農家からは同事業の活用はハードルが高いという声も。正式な雇用契約を結ばずに人手を補う農家が多く、補助金の申請で国に求められる雇用証明の書類提出が難しい。[br][br] 甲地さんは「収穫期の手伝いで、雇用契約を結ぶ人はほとんどいないのが現状」と打ち明け、「農家の実情に即した対応を検討してもらえれば」と訴える。東北町内の畑で行われているナガイモの春堀り。人手不足のまま収穫の最終盤を迎えている=21日