あおり運転への対処、VRで学んで 警察や教習所で導入広がる

 仮想現実を用いたシミュレーターを使い、あおり運転被害を疑似体験して対処法を学ぶ参加者=5日、警視庁中野署
 仮想現実を用いたシミュレーターを使い、あおり運転被害を疑似体験して対処法を学ぶ参加者=5日、警視庁中野署
もしも、あおり運転に遭ったら―。名古屋市の自動車部品会社「アイロック」が仮想現実(VR)を用いたシミュレーターを開発し、各地の警察や教習所で導入する動きが広がっている。同社社長でプロレーサーの古賀琢麻さん(44)は「いざ被害に遭ったときに冷.....
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 もしも、あおり運転に遭ったら―。名古屋市の自動車部品会社「アイロック」が仮想現実(VR)を用いたシミュレーターを開発し、各地の警察や教習所で導入する動きが広がっている。同社社長でプロレーサーの古賀琢麻さん(44)は「いざ被害に遭ったときに冷静に行動できるよう備えてほしい」と話している。[br][br] 高速道路を走行中に背後からけたたましく響くクラクション音。ルームミラーをのぞき込むと、極端に距離を詰める黒い車が見える。恐怖でハンドル操作がおぼつかなくなる。あたふたしているうちに追突され、激しい振動が体に伝わった―。[br][br] 今月、警視庁中野署(東京都中野区)で開かれた安全運転教室。参加者が実際の車を模したシミュレーターであおり運転被害を体験した。参加者の一人、高橋万里子さん(50)は「本当にあおられているようでパニックになった。この経験があるかどうかで対処に差が出ると思う」と話した。[br][br] シミュレーターは古賀さんが5年ほど前にレースの練習用として開発した。あおり運転が社会問題となる中、対処法を学ぶニーズがあると考え、昨年9月に改良した。[br][br] 山口市の「山口そうごう自動車学校」も今月からシミュレーターを導入、高齢者講習や企業研修で活用する予定だ。これまでは座学で対処法を教えていたが、田中秀明社長(40)は「実車での講習は危険だが、見聞きするだけでは限界がある」と意義を語る。[br][br] 古賀さんは「地域のイベント会場や車の販売店など、さまざまな場面で活用してほしい」と提案。シミュレーターで対処法を学んだ上で、実際に被害に遭った際には「路側帯や駐車場など安全な場所に止まり、外に出ずに鍵を閉めて110番を」と訴えている。[br][br] 【あおり運転】[br] 2017年6月に神奈川県の東名高速で夫婦が死亡した事故を機に社会問題化。法律上の明確な定義がなかったが、20年6月施行の改正道交法であおり運転を「妨害運転」と定め、他の車を妨げる目的での逆走や急ブレーキなど10種類の行為を規制した。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、免許は即取り消しで欠格期間は2年。「著しい危険」の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、欠格期間3年。昨年6~12月、28都道府県の警察が同法のあおり運転容疑を適用して計58件を摘発した。 仮想現実を用いたシミュレーターを使い、あおり運転被害を疑似体験して対処法を学ぶ参加者=5日、警視庁中野署