塗料で耐震強化「犠牲者ゼロに」 東大発のベンチャー企業が開発

 鈴木正臣社長(中央)らAsterのメンバー=3月、東京都内
 鈴木正臣社長(中央)らAsterのメンバー=3月、東京都内
東大発のベンチャー企業「Aster(アスター)」が、建物の耐震性を高める特殊な塗料を開発した。世界では多くの人がれんがや石を積んだ家に住むが、震災で倒壊して死者が出ている。実験では外壁に塗るだけで震度7の揺れに耐えたという。「犠牲者ゼロ」を.....
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 東大発のベンチャー企業「Aster(アスター)」が、建物の耐震性を高める特殊な塗料を開発した。世界では多くの人がれんがや石を積んだ家に住むが、震災で倒壊して死者が出ている。実験では外壁に塗るだけで震度7の揺れに耐えたという。「犠牲者ゼロ」を掲げ、まずはネパールやフィリピンから広めようと活動している。[br][br] 鈴木正臣社長は静岡県の建設会社の役員で、高架などのインフラを補強する塗料を自社で開発。れんがや石造りの建物の耐震強化に応用しようと、東大生産技術研究所の山本憲二郎特任助教らと組んでアスターを2019年に創業した。[br][br] 山本氏によると、日本では木造家屋が一般的だが、世界人口の6割はれんがや石を積んだ「組積造(そせきぞう)」と呼ばれる構造の家に住む。建設費が安く断熱性は高いが、地震には弱い。過去100年の地震死者の約8割は組積造の倒壊によるものという。外部から耐震補強すると工事は大掛かりになり、途上国では「お金を費やす余裕がない」(山本氏)。[br][br] 住宅向けに開発した「パワーコーティング」は樹脂に特殊な繊維を混ぜた塗料で、1ミリ弱の厚さに塗って乾燥させるだけ。鈴木氏は「塗るのに特別な技術は不要で価格も安い」とアピールする。[br][br] ネパールには事務所を構えて現地の大手建設会社と提携。フィリピンでは国際協力機構(JICA)の事業に採択され、同国政府と学校などの耐震強化に乗り出す。将来は人口の多いインドやインドネシアなどへの進出も目指す。[br][br] 鈴木氏は「商品を世界に普及させて犠牲者をなくしたい」と意気込んでいる。 鈴木正臣社長(中央)らAsterのメンバー=3月、東京都内