年度替わりで人の流れが活発化した3月下旬以降、青森県内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が急増している。青森市で障害者施設の大規模クラスターが起きた3月31日を起点とした場合、今月21日までのわずか3週間程度の間に計16件が発生。八戸市で教育保育施設と小学校のクラスターが相次いだほか、青森では「夜の街」の飲食店を中心に多発し、県都の感染拡大を背景に県内全域で警戒感が高まる。ゴールデンウイークを前に、中止に追い込まれた春まつりやイベントもあり、地元の社会経済活動に多大な影響が広がっている。[br][br] 企業や団体、学校が新年度を迎える直前の3月は、引っ越しや新生活の準備で人の往来が活発になる時期だ。クラスター多発の背景について、県感染症対策コーディネーターの大西基喜医師は「人の流れや移動の影響が大きいのではないか。人の流れが多ければ、その中に一定数の感染者が含まれるため、感染リスクも高まる」との見解を示す。[br][br] 3、4月は歓送迎会シーズンであり、「送別会や歓迎会での飲食が関係している可能性もある」と指摘。青森では飲食店クラスターが続出し、21日に発生した3件のうち2件も酒類を提供するバーだった。[br][br] 大西医師による遺伝子分析では、昨年12月上旬に八戸や青森の接待を伴う飲食店などで発生した3件のクラスターは、同じ遺伝子系統のウイルスによる感染だったことが分かっている。[br][br] 感染が県内各地に飛び火していたことが判明し、「夜の街関連のクラスターは全県的な問題。今は入院にならない20代の感染が多いが、家族らに感染すれば医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する恐れがある」と早期に食い止める必要性を強調。圏域をまたいだクラスターが発生した状況を踏まえ、「県内の移動を通してクラスターの連鎖が起こる可能性もあり、県内移動にも注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。[br][br] 八戸市で起きた2件のクラスターは、共に子どもが関係する施設のため、市民に不安や動揺が広がった。21日時点で、教育保育施設の感染規模は関連を含め計28人、小学校は関連含め計23人に上り、いずれも発端となった感染経路は不明だ。[br][br] クラスターの多発は、疲弊する地域経済にさらなる打撃を与え、県内各地で春のイベントが中止を余儀なくされた。八戸公園を会場とした「はちのへ公園春まつり」もその一つ。市と主催者は開催の準備を進めてきたが、今月14日になって急きょ中止を決定した。[br][br] 21日の会見で小林眞市長は「不特定多数の人が集まる場合の感染防止対策は、人出や人の流れなどをコントロールするのが難しい」と説明。今後、イベントを計画している事業者にも、十分な対策が図れるかを検討するように求めた。[br][br] 一方、地元の社会経済活動が影響を受けている現状を念頭に、「例えば施設やホールでは人数制限などの対策を徹底すれば開催できる。極端に何もしないということではなく、開催できるかどうかを確認してほしい」との考えを示した。