政府は16日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を首相官邸で開き、緊急事態宣言に準じた対策を可能とする「まん延防止等重点措置」の対象に埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県を20日から追加すると決めた。東京、大阪などに加え、適用は計10都府県となる。愛媛県は適用要請の検討に入り、西村康稔経済再生担当相は週末に中村時広知事と協議する意向だ。感染症対策分科会の尾身茂会長は医療逼迫(ひっぱく)が深刻化する大阪などを念頭に、緊急事態宣言発令の是非を「来週以降判断すべきだ」と強調した。[br][br] 全国の感染は連日4千人を超えた。大型連休を控え、政府は変異株への警戒を強めた。[br][br] 今回追加される4県の期間は今月20日から大型連休が明けた5月11日まで。適用区域は、埼玉がさいたまなど2市、千葉は浦安など5市、神奈川は横浜など3市、愛知は名古屋市とする。[br][br] 訪米中の菅義偉首相は対策本部を欠席し、代理を務めた加藤勝信官房長官が適用を決定した。加藤氏は「各地で発生する感染拡大の波を、全国規模の大きな波にしないために、地域を絞った重点措置を機動的、集中的に講じ、感染を抑え込む」と述べた。感染拡大が懸念される北海道や奈良県、愛媛県、福岡県について状況を注視するとした。[br][br] 尾身氏は16日の衆院厚生労働委員会で、大阪などへの緊急事態宣言の必要性について「来週になれば重点措置の効果がはっきりする。来週以降、最終的に判断すべきだ」と語った。16日の全国の感染は4500人を上回り、14日から3日連続で4千人を超えた。[br][br] 政府は大型連休で人の移動が活発化すると見込み、重点措置の対象となる感染拡大地域との往来自粛を求める。(1)飲食店の午後8時以降の営業自粛(2)区域内の全店舗の見回り(3)高齢者施設における定期検査(4)医療提供体制の確保―などの感染対策を徹底し、医療逼迫を防ぎたい考えだ。[br][br] 西村氏は16日午後、衆参それぞれの議院運営委員会に適用追加を報告した。首都圏3県について、地域ごとに状況を分析する考えを示した。政府は16日午前、専門家らによる基本的対処方針分科会を開き、4県の追加方針を説明し、了承された。[br][br] 厚労省に対策を助言する専門家組織が14日に示した資料によると、直近1週間の人口10万人当たりの20~30代の感染者数は大阪でおおむね100人を超え、ステージ4(爆発的感染拡大)の基準である25人を大幅に上回った。東京は30人以上だった。