ナマコ密漁、空から監視へ 国内初、ドローン本格運用/野辺地町漁協

野辺地漁港から飛び立つ密漁監視用のドローン=16日、野辺地町
野辺地漁港から飛び立つ密漁監視用のドローン=16日、野辺地町
ナマコなどの海産資源の密漁を防ぐため、野辺地町漁協(山縣勝彦組合長)は本年度、無人機ドローンを活用した「密漁監視システム」の運用を始める。ドローンには高精度の赤外線カメラを搭載しており、夜間でも撮影が可能。人工知能(AI)で瞬時に映像を判別.....
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 ナマコなどの海産資源の密漁を防ぐため、野辺地町漁協(山縣勝彦組合長)は本年度、無人機ドローンを活用した「密漁監視システム」の運用を始める。ドローンには高精度の赤外線カメラを搭載しており、夜間でも撮影が可能。人工知能(AI)で瞬時に映像を判別し、不審な人物や船舶についてリアルタイムで複数の関係者に伝達できる。システムの本格運用は国内初。関係者は「対応が難しい密漁の抑止につなげたい」と期待する。[br][br] 同漁協によると、ナマコは近年、中国向け商品の増加などに伴い価格が上昇。かつては1キロ当たり200~300円程度だった価格は現在、5千~7千円程度に跳ね上がっている。高値で取引されるナマコの密漁は、全国的に増加傾向にある。[br][br] 同漁協でも、2016年に80トンだった水揚げ量は、20年に39トンまで減少。石田美幸統括部長は「不漁の年だった面もあるが、本来いるはずの場所にナマコがいない。密漁の被害に遭ったと考えている」と推測する。[br][br] システムの導入を決めたのは、これまで監視員の配置や監視カメラの活用で対策を講じてきたものの、密漁者の確保に至ったケースはなかったため。目視で死角となっていた場所もカバーできる高い監視能力と機動力を求め、運用することとした。[br][br] ドローンの開発などを手掛けるエアーズ(東京都)のシステムを活用する。ドローンは、同漁協が設定した密漁者が現れる可能性が高いエリアを自動航行し、高度30~50メートルから広域を監視する。リアルタイムでの映像確認が可能。赤外線カメラにより夜間でも撮影できる。[br][br] 撮影した映像はAIが判別。不審人物や船舶、ダイバーが潜水時に吐き出す泡などを特定し、位置情報とともに関係者や捜査機関などに電子メールで通知する。[br][br] 16日は、野辺地漁港で公開デモンストレーションが行われ、参加者約30人が、ドローンが発着する様子やドローンから送られる映像などを確認した。[br][br] システムについてエアーズの担当者は「密漁の監視や抑止について、漁業者の安全確保とコスト削減が期待できる」と説明。同漁協の砂原則行副組合長は「これまで密漁を防ぐのは難しかった。システムの効果に期待したい」と話した。野辺地漁港から飛び立つ密漁監視用のドローン=16日、野辺地町