【新型コロナ】変異株、国内の主流に 第4波拡大の懸念

 主な新型コロナウイルスの変異株
 主な新型コロナウイルスの変異株
新型コロナウイルスの流行が再拡大し「まん延防止等重点措置」の対象に4県の追加が決まった。急激な“第4波”の一因として警戒しなければならないのが、感染力が増した変異株だ。拡大の中心となった関西では既に主流となっていることが判明。来月には関東や.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 新型コロナウイルスの流行が再拡大し「まん延防止等重点措置」の対象に4県の追加が決まった。急激な“第4波”の一因として警戒しなければならないのが、感染力が増した変異株だ。拡大の中心となった関西では既に主流となっていることが判明。来月には関東や東海地域でも感染者の8~9割を占める恐れがある。飲食店の営業時短を中心とした従来の対策で歯止めをかけられるかどうかは不透明で、さらなる拡大の懸念もある。[br][br] ▽感染力1・3倍[br] 新型コロナウイルスの表面には突起状のタンパク質があり、人の細胞内に侵入するのに大きな役割を担っている。この突起の形や性質は、遺伝情報の変異によってさまざまな種類が見つかっているが、主に注目されているのが、感染力に関係する「N501Y変異」と、免疫に影響を与える「E484K変異」だ。[br][br] N501Y変異を持つウイルスは、主に英国株と南アフリカ株、ブラジル株の三つのタイプが確認されており、国も監視して警戒している。国立感染症研究所は、国内で最も多く確認されている英国株について従来の株よりも1・32倍感染力が強いと分析。南ア株やブラジル株も感染力が大きく上がるとの報告がある。[br][br] 国内では、これらの変異株への置き換わりが進行しているとみられ、厚生労働省のまとめでは、13日時点で変異株が見つかった自治体は42都道府県に上った。感染研は、首都圏は5月前半にも8~9割がN501Y変異を持つタイプになると試算。東海地方や沖縄でも、来月にはほぼ置き換わると推定される。[br][br] ▽50代以下も重症化[br] 既に変異株が流行の主流になった大阪府。4月13日時点のまとめでは、重症者に占める50代以下の割合は冬の第3波の時は17・5%だったのに対し、3月からの第4波では33・5%と高い。発症から重症化までの日数も従来株が主流だった第3波では8日だったのが、変異株の陽性者に限ると6・5日と短い。[br][br] 重症患者を受け入れている近畿大病院の東田有智(ゆうぢ)病院長は、第3波に比べて「入院期間が長くなり、新たな患者の受け入れが難しくなった」と危機感を示す。府の幹部は患者が治療を経て軽症になるまでの期間も長くなっているとみており「病床が目詰まりする原因になっている」と焦る。[br][br] 東京都は今月15日に開いたモニタリング会議で、従来株では人との接触を30%減らせば感染抑制が見込めるのに対し、変異株では50%以上の削減が必要との試算を明らかにした。都は「コロナとの闘いは新たな局面に入った」とみており、都専門家組織で座長を務める賀来満夫・東北医科薬科大特任教授は「より強い人流抑制が必要だ」と訴えた。[br][br] ▽現実の直視を[br] 新型コロナ対策の切り札として政府が全力を注ぐワクチン。ただ高齢者向けの接種が始まったばかりで、大部分の国民に行き渡る時期は見通せない。感染者を減らす効果がいつ発揮されるかも不透明だ。[br][br] 大阪や兵庫では、現状の感染者が既に第3波を大幅に超えている。政府の新型コロナ感染症対策分科会は、変異株により今まで以上に医療が逼迫(ひっぱく)しやすくなっていると分析。「強い対策」が必要だと懸念を強める。分科会の尾身茂会長は「新たな課題に直面している。現実を直視すべきだ」と警鐘を鳴らした。 主な新型コロナウイルスの変異株