時評(4月14日)

共同通信が10~12日に実施した全国電話世論調査では、新型コロナウイルス感染症の再度の感染拡大について「不安を感じる」との回答が「ある程度」を含め92・6%もの高率に上った。政権にとっての喫緊の課題は国民の不安解消であることは明らかだ。 一.....
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 共同通信が10~12日に実施した全国電話世論調査では、新型コロナウイルス感染症の再度の感染拡大について「不安を感じる」との回答が「ある程度」を含め92・6%もの高率に上った。政権にとっての喫緊の課題は国民の不安解消であることは明らかだ。[br][br] 一方、内閣支持率は44・0%で前回3月から1・9ポイントの微増。コロナへの不安を抱きながらも、頼る先は政府という国民の現状を浮き彫りにしたと言えよう。[br][br] 12日に行われた衆院決算行政監視委員会の質疑で野党議員は菅義偉首相のコロナを巡る「危機感の欠如」を批判した。首相は反論したが、国民が不安を抱く要因に首相の危機感が伝わらない点もあるのではないか。[br][br] 政府がまん延防止等重点措置の適用を東京など3都府県に拡大することを決めた9日夜、首相は報道各社のいわゆる「ぶらさがり取材」に対し「都道府県(間)の移動について極力自粛してほしい」と述べた。[br][br] 広く国民に影響し、また感染抑制の効果も期待できる移動自粛のような重要事項は危機感を強調する意味でも正式な記者会見で伝えるべきだ。[br][br] 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長や西村康稔経済再生担当相らと首相の認識の違いも目立つ。尾身氏は今月の早い段階で感染拡大の「第4波」に入りつつあると指摘。西村氏は12日の国会答弁で「緊急事態宣言を出してもおかしくない」地域があると述べたが、首相はいずれにも否定的だ。政府内の意思統一に疑問符が付くようであれば国民の納得は得られない。[br][br] 高齢者向けのワクチン接種は12日に始まったが、首相は当日の衆院の委員会で今後の接種スケジュールについて質問されても正面から答えなかった。[br][br] もちろん未知のウイルスさらには変異株への対策には試行錯誤があって当然だ。同時に感染の収束には国民の協力も不可欠だ。国民の不安を解消し協力を求めるには正確で透明性のある説明が求められる。[br][br] 首相は6日に出演したテレビ番組で、10月に任期満了を迎える衆院の総選挙を巡り「(9月末までの自民党)総裁選前の(衆院)解散も当然あり得る」と主導権維持の意欲を表した。[br][br] 今回の世論調査では総選挙について「解散せず任期満了で選挙する」との回答が60・1%に上った。首相にはまずコロナ対応をはじめとする諸課題への対応を望むという声だろう。無視できる数字ではない。