山形大でパワハラ疑惑 研究員ら被害訴える

 山形大米沢キャンパスの有機エレクトロニクス研究センター=6日、山形県米沢市
 山形大米沢キャンパスの有機エレクトロニクス研究センター=6日、山形県米沢市
山形大がパワハラ疑惑に揺れている。工学部の拠点、米沢キャンパス(山形県米沢市)の有機エレクトロニクス研究センターを舞台に、研究員らが、センター長や複数の職員からの被害を訴えている。パワハラが背景にあると疑われる放火事件も発生。しかし真相究明.....
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 山形大がパワハラ疑惑に揺れている。工学部の拠点、米沢キャンパス(山形県米沢市)の有機エレクトロニクス研究センターを舞台に、研究員らが、センター長や複数の職員からの被害を訴えている。パワハラが背景にあると疑われる放火事件も発生。しかし真相究明に向けた大学の動きは鈍く、3月には研究員らが文部科学相宛てに「研究費の不正使用がある」とする告発の文書を出すに至った。[br][br] 「地域貢献する国立大として恥ずべき行為だ」。大学職員組合執行委員の仁科辰夫教授は昨年11月、時任静士(ときとう・しずお)センター長らによるパワハラ行為があったとして大学に改善を申し立てたことを明らかにした。被害を訴えたのは有期雇用の男性教授や研究員ら4人。残業の過少申告を強要され、契約や補助金の名目と異なる研究に不正に従事させられ、精神的苦痛を受けたと主張している。[br][br] 玉手英利学長は昨年11月の定例記者会見で「責任を感じている」と陳謝。第三者委員会が今年1月に調査を始めたが、結論まで長期化の様相だ。[br][br] そんな中、新たな問題が顕在化する。パワハラを訴えた研究員の1人について、米沢労働基準監督署が時間外勤務の賃金未払いを指摘して是正勧告。大学は今年2月に不足分を支払った。[br][br] さらに県警は3月、センターで昨年6月17日に起きた火災に関し、現住建造物等放火未遂の疑いで研究員だった男性を容疑者死亡のまま書類送検した。この火事では研究室1室の壁を焼いた。[br][br] 複数の関係者によると、男性は消火作業中がたがた震えていた。数日後に死亡、自殺とみられる。仁科教授の話では、上司から研究成果を出すよう厳しく迫られるなどしたという。パワハラを受けていた疑いがある。[br][br] 放火事件の書類送検を受けてもなお、玉手学長は4月1日の会見で「問題の背景を整理する。パワハラとの関連は調査の中で分かれば対応する」と述べるにとどめた。一連の問題について時任センター長は「調査に影響が出る可能性がある」との理由で取材に応じないままだ。[br][br] 企業への研修などを行う「職場のハラスメント研究所」(東京)の金子雅臣代表理事は一般論として、大学の研究現場には「上司に逆らえば研究が続けられないといった前近代的な人間関係や、問題が外に出づらい密室性がある」と指摘。「山形大は旧弊にピリオドを打つ覚悟で調査を進めてほしい」と話した。 山形大米沢キャンパスの有機エレクトロニクス研究センター=6日、山形県米沢市