2021年度予算が成立し、通常国会は重要法案の審議を軸とする後半戦に入った。[br][br] 菅内閣の看板政策であるデジタル改革の関連法案は、デジタル庁創設を柱にマイナンバーと金融機関口座のひも付けも含まれる。与党は4月中の成立を目指しているが、立憲民主党は個人情報保護の強化を求めており、今後も与野党のせめぎ合いが続く見通しだ。[br][br] 継続審議になっている憲法改正手続きに関する国民投票法改正案では、与党が衆院憲法審査会開催を働き掛けている。自民、立民両党は今国会で「何らかの結論を得る」と合意済み。ただ、自民党は同案成立を本格的な改憲論議へのステップと位置付けるが、野党側は早期採決に難色を示す。[br][br] 予算審議で論戦の中心となった新型コロナウイルス感染症対策や、総務省の違法接待問題は引き続き大きな課題だ。コロナ感染が拡大している宮城県や大阪府へのまん延防止等重点措置の適用が取り沙汰されるが、野党からは緊急事態宣言の再発令を求める声が上がっている。欧米諸国などと比べ遅いワクチンの接種計画と合わせ、議論を深める必要がある。[br][br] 菅義偉首相の長男が勤める放送事業会社「東北新社」の外国資本規制違反問題を巡り、総務省は5月1日付で衛星放送事業認定の取り消しを決めた。ただ同省と東北新社の間では面会に関する主張の食い違いが表面化している。行政のゆがみに直結するだけに放置できない。[br][br] 19年の参院選広島選挙区を巡る買収事件では、辞職した河井案里前参院議員に続き、夫の克行元法相も衆院議員を辞職する。しかし、陣営に自民党本部が投入した1億5千万円の使途は明確になっておらず、国会として解明する責任がある。[br][br] 国会の動きと関連し、最も注目されるのが6月16日の会期末までに衆院解散・総選挙が実施されるかどうかだ。任期満了まで7カ月を切る中、自民党内では4月上旬の首相訪米や高齢者へのワクチン接種開始、デジタル法案成立で環境が整うとの見方が浮上。菅首相はコロナ収束優先の考えを強調しているが、与野党では内閣不信任決議案も絡んだけん制が相次ぐ。[br][br] 4月25日には衆院北海道2区、参院長野選挙区両補欠選挙と、参院広島選挙区の再選挙が投開票される。結果とコロナ感染状況、内閣支持率の動向が解散時期に影響を及ぼすとみられるが、各党は衆院選をにらんで独自の主張や政策発信を強め、国民にアピールすべきだ。