【北海道新幹線開業5年】利用客は減少傾向 青函一体の振興策が鍵

北海道新幹線の開業で、青森県内は東北新幹線八戸駅、新青森駅に続く“第3の開業”に沸き、観光面で期待が高まった。だが、利用客は開業年をピークに下降が続くなど誘客力の弱さが浮き彫りに。リピーターの獲得も課題の一つで、青函一体となった、魅力ある観.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 北海道新幹線の開業で、青森県内は東北新幹線八戸駅、新青森駅に続く“第3の開業”に沸き、観光面で期待が高まった。だが、利用客は開業年をピークに下降が続くなど誘客力の弱さが浮き彫りに。リピーターの獲得も課題の一つで、青函一体となった、魅力ある観光振興策が求められる。[br][br] JR北海道によると、開業した2016年度は新青森―新函館北斗間の1日平均の利用者数は6200人だった。ただ、17年度は5千人、18年度が4600人、19年度には4500人と減少が続く。20年度は新型コロナウイルスの影響で、1500人(2月末まで)と大きく落ち込む。[br][br] 同社広報部は「観光目的が中心なため、一度訪れた人が目的地を変え、再び北海道を選ぶ人が少なく、徐々に減少している」との見方を示す。[br][br] 県は、新幹線だけに頼るのではなく、空路や航路を組み合わせた「立体観光」を推進。取り組みは一定の成果を見せ、訪日外国人客を中心に、コロナの影響を受けるまでは県内への入り込み客数が増加傾向にあった。[br][br] 開業と立体観光の効果について、津軽海峡圏の観光振興に取り組んできたYプロジェクト(大間町)の島康子代表は「青函の周遊観光という選択肢が生まれ、誘客の幅が広がった」と指摘する。[br][br] コロナ禍で観光業が苦境にある中、青函の周遊観光を広く発信する機会として期待されるのが、4月から始まる「東北デスティネーションキャンペーン(DC)」だ。[br][br] 青森は道南地方と圏域単位で参加。今夏の世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」など、両地域の魅力が詰まったツアーを造成するなどして一つの観光エリアとしての認知度向上を図り、域内外の誘客を図る考えだ。[br][br] 10年後には新幹線が札幌に届き、観光客獲得の地域間競争が激化する。島代表は「魅力がなければ素通りされる地域になる」と危機感を示しつつ、「道内の観光客もターゲットと考えれば、さらなる誘客が見込める。エリアとしての魅力を国内外に浸透させたい」と意気込む。