国土交通省が23日発表した公示地価(1月1日時点)は全用途の全国平均が前年比マイナス0・5%で、6年ぶりに下落した。前年上昇率と今回下落率との差は1・9ポイントで、5・2ポイントだったリーマン・ショック後の2009年以来の下げ幅。新型コロナウイルス感染症による土地需要減退が大都市の商業地を直撃した。地方圏も4年ぶりに下落に転じたが、国交省は「影響は比較的小さい」と分析している。[br][br] 変動率マイナスは商業地が39都府県、住宅地は38都府県に拡大した。昨年後半は感染の落ち着きで地価も持ち直し傾向にあったが、今年1月の緊急事態宣言発令以降、再び弱含んでおり、本格的な回復は当面難しそうだ。[br][br] 商業地はマイナス0・8%で7年ぶりに下落。観光地のホテルや繁華街店舗から客足が遠のき収益が悪化、オフィス撤退を含め需要が低迷した。[br][br] 前年まで上昇基調を強めていた三大都市圏は反動も大きく、下落率は1・3%。大阪圏は1・8%で、全国の商業地下落率上位10地点は大阪市中央区・道頓堀の28・0%を筆頭に8地点を同区が占めた。[br][br] 地方圏も4年ぶりに下げたが下落率は0・5%。中心部は上昇もみられ、人口減少で下落が続く地域は変化が小さかった。主要4市(札幌、仙台、広島、福岡)に限ると、再開発地域がけん引し、プラス3・1%。[br][br] 全国の住宅地はマイナス0・4%で下げは5年ぶり。雇用情勢悪化で高価格帯を避ける動きが出た。三大都市圏はマイナス0・6%で、交通が便利なエリアは上昇を続けたが範囲は狭まった。[br][br] 地方圏はマイナス0・3%。県庁所在地などは上昇地点があった。主要4市は駅徒歩圏の需要が堅調で2・7%上昇。全国下落率1位は昨年7月の豪雨で被災した熊本県人吉市の14・6%。[br][br] 工業地はプラスを維持し0・8%上昇。インターネット通販拡大に伴う物流施設用地の需要が支えた。[br][br] 上昇率1位は商業、住宅地ともスキーリゾート開発が続く北海道俱知安町。最高価格は15年続けて東京都中央区の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5360万円と410万円下がった。