青森県などは23日、北東アジアと欧州、北米を結ぶ物流ルート「北極海航路」に関する2020年(6~12月)の航行実態を公表した。同航路を横断した航行数は延べ133航行で、前年同期比46航行増。同航路を横断し津軽海峡を通過したのは19年の3航行から8航行に増え、15年の調査開始以来、最多となった。[br][br] 県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)など5機関が人工衛星からのデータを基に航行情報を分析した。[br][br] 航行数の増加は、夏場の海氷面積が観測史上2番目に小さく、航行可能期間が長かったことや、ロシア国内の液化天然ガス(LNG)基地で生産が軌道に乗り始めたことなどが要因とみられるという。[br][br] LNGタンカーは、北極海航路を通る船舶の約3分の1を占める。17年12月に操業を開始したロシア・ヤマル半島にあるLNG基地に近いサベッタ港には、前年同期比17航行増の46航行が寄港しており、全体を押し上げた。[br][br] 北極海と津軽海峡の両方を通ったのは、過去最多の32航行。さまざまな原材料を運ぶバルク船も初めて確認された。今回は八戸港への寄港はなかった。19年は3航行の八戸港寄港が確認されていた。[br][br] 得られた結果は、県のロジスティクス(物流)戦略に生かす。三村申吾知事は「津軽海峡が国家戦略上でも重要なエリアであることを国内外に発信したい。海峡の持つ可能性を現実に変えていきたい」とのコメントを出した。