野党が総務省幹部の違法接待問題に絡み、NTT側と会食していた歴代総務相らに照準を合わせ始めた。元総務相の野田聖子・自民党幹事長代行や高市早苗前総務相らは、閣僚への供応接待を禁じた「大臣規範」に抵触していたとみる。単なる官僚と業者の関係で幕引きさせず、菅政権全体の癒着体質を浮き彫りにする戦略。来月25日に迫る衆参両院3選挙をにらみ、攻勢を強める方針だ。[br][br] 「国民の疑念を招くような会食や会合に応じたことはない」。11日の参院予算委員会。武田良太総務相は、NTT側との会食の有無を何度聞かれても明言しなかった。野党側は猛反発。立憲民主党の白真勲氏は、武田氏は信頼できないとして「お辞めになった方がいい」と詰め寄った。[br][br] これまで違法接待問題で国会答弁の矢面に立ったのは、山田真貴子前内閣広報官や谷脇康彦前総務審議官ら官僚だった。だが山田氏は辞職、谷脇氏は更迭。「問題が収束してしまう」(野党幹部)との懸念も出ていた。[br][br] そんな中で新たに報じられた歴代総務相らへのNTT接待疑惑。野田氏や総務副大臣を務めた坂井学官房副長官は記者団に在任時の会食の事実を認め、釈明に追われた。高市氏も「認可権に係る頼み事の話題が出たのは皆無だ」と、自身のホームページに掲載した。[br][br] 野党は早速食い付く。11日の参院予算委理事会で、立民の森裕子氏は「政治家がどうだったか議論が必要になった」と、野田氏らを念頭に参考人招致を要求した。[br][br] 焦点は会食が大臣規範に触れるかどうかだ。大臣規範には関係業者からの供応接待などを列挙し「国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」と明記されている。野田氏らはそろって会食はしたが要望は受けなかったと説明。大臣規範を意識したのは間違いない。[br][br] だが立民は「どう考えても供応接待だ」(幹部)と主張。泉健太政調会長は記者会見で「武田氏が誠実に答弁するのは当然だ」と訴えた。中堅議員も来月の衆参3選挙を見据え「接待問題を通じて自民党全体のイメージダウンにつなげる」とその狙いを打ち明ける。[br][br] 一方の与党はやまない不祥事に頭を抱える。ワクチン接種など新型コロナウイルス対策を着実に進めて政策実行力をアピールし、政権浮揚につなげる戦略に狂いが生じかねないためだ。自民関係者は「こんな状態では選挙にならない。厳しい戦いになる」とこぼした。