【震災10年】浜風受けあの日に思い/八戸・市川地区

津波の被害が大きかった八戸市市川地区。10年が経過し、住民らはあの日に思いをはせる=11日
津波の被害が大きかった八戸市市川地区。10年が経過し、住民らはあの日に思いをはせる=11日
海と五戸川の双方から津波に襲われた八戸市市川地区。非住家を含め建物468棟が倒壊、流出するなど大きな被害を受けた。震災から10年。節目を迎えた11日、太平洋に面した防潮堤で浜風に吹かれながら、あの日に思いをはせる人々の姿があった。 午前中、.....
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 海と五戸川の双方から津波に襲われた八戸市市川地区。非住家を含め建物468棟が倒壊、流出するなど大きな被害を受けた。震災から10年。節目を迎えた11日、太平洋に面した防潮堤で浜風に吹かれながら、あの日に思いをはせる人々の姿があった。[br][br] 午前中、堤防の上で静かに海を眺めていた同地区の大工・濱清晴さん(67)。自宅は被災を免れたが、当時、津波で被害を受けた住宅を何軒も直して回った。[br][br] 「この10年で、この辺りの景色は大きく変わった」と振り返りつつ、「風景は変わったのに、自分は相変わらず海へ来ている。津波は怖いけど、やっぱり海が見たくて」としみじみと語った。[br][br] 地震発生時刻の午後2時46分、元海上自衛隊勤務の中村英晴さん(68)は海へ向かって黙とうをささげていた。当時、同地区にあった自宅が床上まで浸水。3カ月後には家を手放すことを決意した。[br][br] 現在は三沢市内に住んでおり、「かつて家があった場所を見るとつらいが、生きている限りはここに来る。被災地を忘れてはいけない」と目を赤くした。[br][br] 五戸川沿いにある食料品販売店は、川から押し寄せた津波によって浸水。同店経営の70代女性は「今でも震災関連の映像が流れると目をそらしてしまう」と率直な思いを語った。[br][br] 当時、避難する際に混乱し、一度は津波浸水区域に避難してしまったことを思い出し、「津波は本当に怖い。反省して忘れないようにしたい」と災害への備えを新たにしていた。津波の被害が大きかった八戸市市川地区。10年が経過し、住民らはあの日に思いをはせる=11日