【中国全人代】3期目にらむ習氏、米国超えへの第1幕

 3期目を狙う習近平国家主席の施策・目標(写真は新華社など)
 3期目を狙う習近平国家主席の施策・目標(写真は新華社など)
中国の習近平指導部が、2035年までに総合国力を飛躍的に強化する方針を表明した。米国を抜き世界最大の経済大国となる“公約”を掲げた習共産党総書記(国家主席)は、来年に異例の3期目に突入する構え。長期支配の「邪魔」(習氏側近)として香港の民主.....
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 中国の習近平指導部が、2035年までに総合国力を飛躍的に強化する方針を表明した。米国を抜き世界最大の経済大国となる“公約”を掲げた習共産党総書記(国家主席)は、来年に異例の3期目に突入する構え。長期支配の「邪魔」(習氏側近)として香港の民主主義は失われ、世界が不安視する中、米中逆転劇の第1幕が上がった。[br][br] ▽28年にも世界一[br][br] 「世界が注目する歴史に残る結果を出した」。李克強首相は5日開幕の全国人民代表大会で、習氏の指導力により新型コロナウイルス感染症や景気低迷、貧困などの難題に勝利したと強調した。[br][br] 米国が感染症対応に苦戦する中、拡大を抑え込んだ中国は経済活動再開を急いでいる。28年にも中国が世界一の経済大国になるとの予測もある。[br][br] コロナ禍の米欧の混迷ぶりを見て自信を深めた習指導部は、国家の意思が個人に優先する一党支配の「優位性」を宣伝。今世紀半ばまでに米国と並ぶ軍隊の建設を目指し、今年の国防予算も経済成長率目標を上回る伸び率を維持。海空軍を中心に軍拡路線に突き進む。[br][br] ▽ソ連崩壊の教訓[br][br] 「立ち上がって闘おうとした男は1人もいなかった」。12年11月に最高指導者となった習氏は翌月に広東省での党内部会議で、ソ連崩壊を許したとしてソ連共産党員を語気を強めてののしった。[br][br] ソ連崩壊の原因を腐敗と社会主義の信念の喪失と見なした習氏は、反腐敗運動と思想統制を強化。党支配に批判的な民主派知識人らを取り締まった。「親世代の築いた党の国家を死守する」(党関係者)との使命感から権力集中を進め、長期支配を見据えるように。[br][br] 習氏から香港政策を託された側近の夏宝竜・香港マカオ事務弁公室主任は、香港を「党の指導と社会主義制度の転覆を図る」勢力の牙城と捉え、民主派一掃に着手した。[br][br] 指導部は最近、党の歴史学習を名目に習氏への忠誠心を育てる運動を展開。習氏が続投を狙う第20回党大会を、万難を排し迎えようとしている。[br][br] ▽誕生祝い[br][br] ただ習氏が掲げる35年までの経済発展には難題が山積。特に地方財政の悪化は深刻で、20年末の債務残高は25兆元(約417兆円)規模に。楼継偉元財政相は昨年12月、今後5年間、多くの地方政府が、財政収入の半分を債務の返済に充てることになると指摘した。[br][br] 人口減少時代も目前に迫る。労働人口が減る一方、60歳以上の高齢者は25年に3億人、33年には4億人を突破する見通し。経済の活力が失われる懸念が強まっている。[br][br] 香港政策に代表される強権統治は国際社会の失望を招き、台頭する中国に対抗する各国の連帯が強まる。李首相は5日、7月の「党生誕100年を祝おう」と訴えたが、党の崩壊を食い止めるため立ち上がった「中華民族の男」(改革派ジャーナリスト)を祝福する機運は乏しい。(北京共同) 3期目を狙う習近平国家主席の施策・目標(写真は新華社など)