【NTT高額接待疑惑】不祥事の連鎖、揺らぐ政権

 NTTによる総務省幹部への接待の構図
 NTTによる総務省幹部への接待の構図
総務省で新たにNTT首脳による幹部への接待問題が発覚した。菅義偉首相の長男正剛(せいごう)氏らによる違法接待に次ぐ不祥事の連鎖が政権を揺るがす。態勢の立て直しを図る首相の思惑は外れ、初入閣し地歩を固めた「お膝元」の総務省で新たな火種を抱えた.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 総務省で新たにNTT首脳による幹部への接待問題が発覚した。菅義偉首相の長男正剛(せいごう)氏らによる違法接待に次ぐ不祥事の連鎖が政権を揺るがす。態勢の立て直しを図る首相の思惑は外れ、初入閣し地歩を固めた「お膝元」の総務省で新たな火種を抱えた形に。もう違法接待はないと説明していた総務省幹部の答弁が虚偽となれば「国会を愚弄(ぐろう)」(野党幹部)したことになり、政権運営に深刻な影響を与えるのは必至だ。[br][br] ▽レッドカード[br][br] 「東北新社の問題で、これ以外に国家公務員倫理規程に反する会食はないと繰り返し答弁していた。明らかに規程に反する接待で、虚偽答弁ではないのか」。4日の参院予算委員会。共産党の田村智子氏の追及に対し、渦中の谷脇康彦総務審議官は応答要領に目を落とし「先方が提示した金額を負担した。国家公務員倫理法には抵触しないと思った」と釈明した。[br][br] 谷脇氏は3日の参院予算委で「通信事業者と外食をする場合はあるが、倫理に違反する会食をしたということはない」と明言したばかり。週刊文春が、谷脇氏らが参加したNTT側との飲食代は約20万円近くで、谷脇氏はうち5千円を支払ったと報じただけに、田村氏は「菅政権はずぶずぶの事業者との関係を究明するつもりがないのか」と皮肉った。[br][br] NTTは総務省から事業計画や取締役選出の許認可を得ており、省幹部は「どう考えても利害関係者からの接待だ。レッドカードを突きつけられてもおかしくない」と語る。省内では谷脇氏の辞任は避けられないとの見方が強まる。[br][br] ▽焦り[br][br] 首相は4日の予算委で、総務省幹部とNTT幹部の会食を「承知していなかった」と言葉少なに答弁。相次ぐ総務省での不祥事に「これで終わりにしたい」と周囲に漏らした。政権幹部は、1998年の大蔵省(現財務省)接待汚職事件で職員が相次いで処分された例を挙げ「当時と様相が似てきた」と焦りを募らせる。[br][br] 谷脇氏は事務次官の有力候補とされ、携帯料金引き下げを巡り首相から直接指示を仰いで実務を取り仕切るなど、一目置かれる存在だった。NTTにとっては通信行政の動向を探る上で最重要の人物と言える。[br][br] 総務省の中堅職員は、谷脇氏が国会で連日、東北新社以外の企業との間で倫理規程に反する会食はなかったと答弁し続けたことを問題視。「うその上塗りだ。かばいきれない」と憤る。[br][br] 4日午後、国会内で開催された総務省違法接待に関する野党合同ヒアリング。民主党政権で総務相を務めた立憲民主党の原口一博副代表は総務省の出席者を前に「いま名前が挙がっている人たちは、私の時は課長級でエースだった。日本を背負って頑張ってきたのに、なぜこんなことになったのか」と悲しげな表情を浮かべた。泉健太政調会長は記者会見で「事実と異なる答弁なら意図的隠蔽(いんぺい)の可能性もあり、厳しく責任が問われる」と強調した。[br][br] 失点続きの政権に、自民党の閣僚経験者は唇をかみ、つぶやいた。「もう持たない。衆院選なんてとてもできる状況ではない」 NTTによる総務省幹部への接待の構図