【バイデン政権の対中政策】要職に強硬派配置 気候対策でバランス苦慮

 バイデン米政権の中国・アジア専門家の主な対中発言(写真はゲッティなど)
 バイデン米政権の中国・アジア専門家の主な対中発言(写真はゲッティなど)
バイデン米政権がアジア、中国政策を担う要職に対中強硬派と目される専門家を配置している。中国に批判的な世論を意識し、トランプ前政権の対決姿勢から融和に転じるとの懸念の払拭(ふっしょく)を図る。ただ、外交・安全保障の柱に据えた気候変動対策では、.....
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 バイデン米政権がアジア、中国政策を担う要職に対中強硬派と目される専門家を配置している。中国に批判的な世論を意識し、トランプ前政権の対決姿勢から融和に転じるとの懸念の払拭(ふっしょく)を図る。ただ、外交・安全保障の柱に据えた気候変動対策では、中国との対話も不可欠。バランスの取り方に苦慮する局面もありそうだ。[br][br] ▽苦い経験 [br][br]「中国の攻撃性と米国のあいまいな態度がインド太平洋情勢を流動的にした」。1月中旬、外交誌に掲載された論文が米政界で注目を浴びた。執筆者はキャンベル元国務次官補と中国専門家ドシ氏。経済、軍事両面で強大化する中国が南・東シナ海で既存秩序をつくり替えようとしており、日本など同盟国との関係強化が急務だと訴えた。[br][br] キャンベル氏はホワイトハウスで、バイデン政権で新設されたアジア政策全般を取り仕切るインド太平洋調整官に就任、ドシ氏も国家安全保障会議(NSC)入りした。[br][br] 同様にバイデン政権で新たに設けられたNSC中国担当上級部長に就いたローゼンバーガー氏、国防長官付の特別補佐官として中国戦略見直しを指揮するラトナー氏―。他にも政権の要所に「タカ派」(英紙フィナンシャル・タイムズ)の中国専門家が並ぶ。[br][br] 背景にはオバマ元大統領の下での苦い経験がある。1期目はキャンベル氏の主導で「アジア重視」戦略を掲げたものの2期目に中東重視へ回帰。中国とは対話路線を取って2015年の習近平国家主席との会談で南シナ海の「軍事化は進めない」との約束を取り付けたがほごにされ、国内外で「弱腰」との批判を招いた。[br][br] ▽承認遅れ[br][br] 中国による香港への抑圧的対応などを受け、米国での対中感情はさらに悪化。議会でも中国への危機意識は超党派で共有されており、バイデン政権の閣僚人事承認手続きにも影響が出ている。[br][br] トーマスグリーンフィールド国連大使は、中国共産党との関係が疑われる米大学の中国語教育機関「孔子学院」での講演が問題視され、承認が遅れた。商務長官候補のレモンド氏は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置継続を明言せず、公聴会で非難を浴びた。[br][br] 一方、バイデン政権が優先課題に位置付ける気候変動問題では、中国の協力が欠かせない。指揮を執る大統領特使にはオバマ政権2期目の国務長官だったケリー氏が就き、中国との対話に再び傾くとの見方もくすぶる。[br][br] 米紙ウォールストリート・ジャーナルはケリー氏とキャンベル氏らの間で路線対立が表面化すれば、中国につけ込む隙を与えると警告している。(ワシントン共同) バイデン米政権の中国・アジア専門家の主な対中発言(写真はゲッティなど)