岩手県北で再生可能エネルギー事業加速 豊富な自然資源活用

木質バイオマス発電の燃料チップを保管する燃料保管棟=2月上旬、一戸町 
木質バイオマス発電の燃料チップを保管する燃料保管棟=2月上旬、一戸町 
岩手県北地方の各市町村が、再生可能エネルギー事業を加速化させている。2050年の二酸化炭素排出実質ゼロを目指し、今月5日に全国130市区町村で発足した「ゼロカーボン市区町村協議会」(会長・林文子横浜市長)には、久慈市と軽米町が全国16の共同.....
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 岩手県北地方の各市町村が、再生可能エネルギー事業を加速化させている。2050年の二酸化炭素排出実質ゼロを目指し、今月5日に全国130市区町村で発足した「ゼロカーボン市区町村協議会」(会長・林文子横浜市長)には、久慈市と軽米町が全国16の共同発起自治体に名を連ねるなど、久慈・二戸地域で計6市町村が参加。県北の豊富な自然資源を活用するとともに、再エネによる地域活性化につなげようと、各市町村は知恵を絞っている。[br][br] 協議会は、脱炭素社会実現に向けた政策研究や国に提言を行うことを目的に、横浜市が「50年までの脱炭素化」を表明している全国の市区町村に参加を呼び掛けた。このうち、県北では共同発起自治体の2市町のほか、二戸市、洋野町、一戸町、野田村も参加。協議会は自治体へのアンケートを通じて各地の課題や要望を集約し、3月下旬に政府に提言する予定だ。[br][br] 一方、久慈、二戸両地域を含む東北地方の計12市町村は19年2月、横浜市と連携協定を締結。県北で発電したエネルギーを同市へ供給するほか、人的、物的交流も始めており、1月末には「一戸&横浜オンライン勉強会」を開催するなど電力供給以外の各種分野での連携を模索している。[br][br] 今月1日には、木質バイオマスなどの電力販売を手掛ける「御所野縄文電力」(一戸町、小林直人社長)と株式譲渡契約を結び、同社の資本金の5%を町が出資。同社は町の出資による信用度や知名度向上、町は電力の地産地消や地域経済活性化を狙う。[br][br] 久慈市も市内の民間5社が中心となって設立した地域電力会社「久慈地域エネルギー」(同市)に17年に出資。現在、市有施設の電力切り替えを進めており、同社を支援する形で電力の地産地消を進める。[br][br] 同市では洋上風力発電導入に向けた動きも加速。23年度までの4カ年で総額3億円の事業費を見込む環境省の事業採択が決まり、本年度中に適地の本格調査に着手する。国による促進区域の指定、将来的な企業進出につなげたい考えだ。[br][br] 軽米町は、雨量が年間千ミリ程度で日照時間も全国平均より長く、約8割を山林が占めることから、町内にはメガソーラーが多く立地する。再生可能エネルギー発電所の開発を手掛ける「レノバ」(東京)が八戸自動車道を挟んで計約460ヘクタールに整備した軽米東ソーラー、軽米西ソーラー発電所は、山間地を利用した発電施設として国内最大規模を誇る。[br][br] 町再生可能エネルギー推進室の福田浩司室長は「今後はエネルギーの地産地消が課題。町民へ利用を促す仕組み作りや、二酸化炭素排出実質ゼロの意識啓発を図っていきたい」と話している。木質バイオマス発電の燃料チップを保管する燃料保管棟=2月上旬、一戸町