天鐘(2月4日)

東風(こち)、薫風、山背、はやて、つむじ、木枯らし…。風の呼び方は無数にある。四季の移ろいと豊かな感性を映し出す。時に穏やかで、時に荒々しく、風は神がもたらすもの―。古(いにしえ)の人々は畏れ、敬ってきた▼もちろん風には理由がある。例えば陸.....
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 東風(こち)、薫風、山背、はやて、つむじ、木枯らし…。風の呼び方は無数にある。四季の移ろいと豊かな感性を映し出す。時に穏やかで、時に荒々しく、風は神がもたらすもの―。古(いにしえ)の人々は畏れ、敬ってきた▼もちろん風には理由がある。例えば陸は海に比べて温度が上下しやすい。日中は暖められた陸の空気が先に上昇し、そこへ海の空気が流れ込む。海風である。夜は陸が先に冷えて陸風に。神でなく温度差の仕業▼菅義偉首相の誕生から間もなく5カ月。当初は圧倒的な人気も、後手に回ったコロナ対応で支持率の下落が続く。与党議員によるクラブ飲酒も追い打ちに。国民が望む政治との乖離(かいり)、その温度差による逆風である▼こちらは追い風と感じているらしい。立憲民主党の枝野幸男代表がいよいよ政権交代を口に。これまで慎重な物言いだったがトーンを上げた。一方で支持が広がらないのは、やはり国民が抱く期待との温度差▼批判の高まりにたじろぎ、もしくは勢いを借りるばかりで、自らを省みる努力を怠っているようにも見える。未曽有の国難に毅然(きぜん)と立ち向かうべき時に、世論の風向きに一喜一憂する政治の姿は滑稽でもある▼国民の生命を守る責務があるはずだ。コロナが浮き彫りにしたのは、危機管理の課題のみならず、現状を打開できない政治の頼りなさ。次期衆院選ではどんな風が吹くのか。理由がある一票を投じたい。