時評(1月9日)

今年の国際情勢の基調を決める主要な3要素は、米国の新政権の誕生、米中新冷戦の行方、国際的な新型コロナウイルス対策の成否と言えるだろう。 20日に就任するバイデン次期米大統領は前任トランプ氏の米国第一主義から国際協調重視に転換する方針であり、.....
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 今年の国際情勢の基調を決める主要な3要素は、米国の新政権の誕生、米中新冷戦の行方、国際的な新型コロナウイルス対策の成否と言えるだろう。 20日に就任するバイデン次期米大統領は前任トランプ氏の米国第一主義から国際協調重視に転換する方針であり、これは世界の平和と安定に向けたプラス要因だ。[br][br] トランプ政権下、米中関係は貿易摩擦や安全保障、人権などの問題で著しく悪化した。バイデン新政権は中国と対話を始めるが、人権や香港などの問題では厳しく対応する可能性もあり、米中関係が容易に改善に向かうとは考えにくい。[br][br] 米中二大国の対立は世界の平和と安定を脅かすマイナス要因だ。喫緊のコロナ対策や世界経済立て直しに向けた国際協力にも悪影響を及ぼしかねない。米中は二大国としての国際責任を自覚して前向きな対話を通じて歩み寄りを図るべきだ。[br][br] バイデン氏はトランプ政権と同様に中国を「競争相手」とし、貿易問題を優先して知的財産権侵害や国有企業への補助金などの課題で中国に改善を求める考えを示した。中国の習近平国家主席はバイデン氏への祝電で「双方が衝突、対立せず、相互尊重とウィンウィン(相互利益)の精神で世界の平和と発展を推進するよう望む」として関係改善を呼び掛けた。[br][br] 中国は今世紀半ばまでに「世界一流の軍隊」を持つ「社会主義近代化強国づくり」を目指し、超大国米国の地位を脅かす。新旧大国の覇権争いは不可避だが、両首脳が平和的な共存を目指し、信頼を積み上げるように期待したい。[br][br] 一方、アジアの地域情勢を見れば、尖閣諸島(沖縄県)領海への中国公船の侵入や、中国による南シナ海の軍事拠点化、香港統制、中台対立など中国の台頭に伴う問題が山積。北朝鮮の核開発問題も未解決のままだ。[br][br] 日本国民の対中感情は尖閣、香港問題や中国発のコロナ感染の拡大で著しく悪化し、昨年春から延期された習氏の国賓来日実施の見通しは全く立たない。だが、米中対立の中で日本は微妙な立ち位置にある。同盟国の米国、隣の新興大国中国のそれぞれと良好な関係を築き、両国に対立解消を促す必要がある。[br][br] また、日本は米欧オーストラリア、インドなど民主主義の価値観を共有する国々と連携し、中国が国際協調や民主的な政治制度を尊重し、公正な経済制度を持つ、国際社会にとって「望ましい大国」になるよう根気強く働き掛けていきたい。