新型コロナウイルスの影響で、青森県信用保証協会の保証付き融資の利用が高止まりしている。2020年度の保証承諾額は、20年12月22日時点で1567億8930万円に達し、リーマン・ショックで利用が増えた08年度通年の1540億7033万円を超えた。ピークの6月から減少傾向にあるが、前年と比べ2倍を超える保証承諾額で推移。事業者は制度融資をフル活用し、事業継続に全力を注ぐが、事態の長期化に「限界が近い」との悲痛な声も漏れ始めている。[br][br] 信用保証制度は、中小企業が金融機関から資金を借り入れる際、協会が公的保証人となり、資金調達しやすくする仕組み。県は新型コロナに伴う支援として国の補助と合わせ、信用保証料と利子負担をゼロとする特別融資制度を5月に始め、21年3月31日まで取り扱う予定だ。[br][br] 県協会のまとめによると、20年4~11月の保証承諾額は1487億7630万円。6月が最多の310億9901万円(前年同月比5・2倍)で、その後は減少傾向にあるが、例年資金需要が少ない11月でも126億9979万円(2・1倍)と高水準が続いている。[br][br] 業種別では、サービス業216億8506万円(2・8倍)、小売業199億5774万円(3・1倍)、飲食業56億9192万円(4・3倍)など、売り上げが激減する業種で増加が目立つ。市町村別では八戸市が332億397万円(3・1倍)と最多だ。[br][br] 県協会の担当者は「当初は宿泊や飲食、小売りの利用が多かったが、今は全業種に広がっている」と指摘。「当面の資金繰りだけでなく、先行きが見通せない中で返済計画をどう立てるか、対応の難しい局面が続く」との見方を示す。 長引く経済停滞で、事業者にも不安が広がる。[br][br] 「事業を継続するだけで精いっぱい。生き残るために事業の見直しをしたいが、その余力はない」。県南地方で水産加工品の製造・販売を手掛ける会社の代表は苦しい現状を明かす。[br][br] 訪日外国人の増加で土産物が好調だったが、新型コロナで需要が消失。駅や空港での販売は激減し、全体の売り上げは前年比で3割以上減少した。対応策として、特別融資制度や雇用調整助成金などを活用し、事業継続に注力してきた。[br][br] ただ、我慢も限界に近づいている。「融資はあくまでも負債。これ以上増やせば今後が厳しくなる」と不安を口にし、「この地域は東日本大震災時の借り入れが残る事業者が多い。コロナでさらに負債が膨らめば、産業全体が危機に直面する」と危惧する。[br][br] 国内の販売網強化を計画するが、「大手との契約には量産が必要。設備投資が不可欠だが、今の状態では難しい」とし、「前向きな投資に使える補助金を創設し、事業者を応援してほしい」と支援拡充を訴える。