時評(1月3日)

新型コロナウイルス感染症が拡大し、自粛生活を余儀なくされている中で新年が明けた。政府の対応は年末年始期間中の観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を唐突に決めるなど混乱したが、国民としてはポストコロナを見据えながら、希望ある社会.....
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 新型コロナウイルス感染症が拡大し、自粛生活を余儀なくされている中で新年が明けた。政府の対応は年末年始期間中の観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を唐突に決めるなど混乱したが、国民としてはポストコロナを見据えながら、希望ある社会の実現を目指したい。[br] 政府は昨年末、新型コロナ特別措置法を改正する方向も打ち出した。休業要請に従わない飲食店への罰則導入が柱だが、全国知事会など自治体側が以前から求めていた課題であり、取り組みの遅さは否めない。一方で、私権制限に関わると同時に、飲食店側には死活問題でもある。通常国会での審議に向け、それぞれの立場から声を上げていくべきだろう。[br] 1年延期された東京五輪・パラリンピックの開催も、世界的な感染状況に大きく左右される。開催に強い意欲を示す菅義偉首相は欧米を中心に接種が始まったワクチンに期待を寄せる。日本では早ければ2月下旬にも医療従事者から接種が始まるとの見通しが出ているが、各国で接種後に強いアレルギー反応が出た人もおり、有効性と安全性を見極める必要がある。[br] 今年は東日本大震災から10年になる。東京電力福島第1原発事故による汚染処理水の処分方法が喫緊の課題だが、政府と東電の地元への調整不足が目立つ。未曽有の事故だったにもかかわらず、政府が原発依存の立場を崩していない中で、原点に立ち返って原発の在り方を見つめ直すべきではないだろうか。[br] 今月20日には米国の新大統領に民主党のバイデン氏が就任する。「自国第一主義」を掲げてきたトランプ大統領が敗北し、国際協調の動きが復活するとの見方が強い。コロナ対策などの面で連携強化が図られるとの期待が高まるが、経済、安全保障両面で緊張状態にある中国との関係が好転する兆しはない。日本の立ち位置が問われよう。[br] 衆院議員の任期が10カ月を切り、衆院選が間違いなく実施される年でもある。「桜を見る会」前日に開かれた夕食会の費用補塡(ほてん)を巡り、安倍晋三前首相が重ねた虚偽答弁に代表されるが、政治不信を増幅させる事案が後を絶たない。[br] それは2012年以降の衆院選が50%台の低投票率だったことと無関係ではあるまい。政界浄化とともに、当面の最大課題であるコロナ禍を克服するためにも、多くの有権者の政治参加は不可欠だ。各党の姿勢や政策を十分吟味した上での投票行動を求めたい。