青森県産和牛の肥育にICT活用 肥育技術確立へ 

牛の首などにセンサーを付けて実施した試験研究=6月、野辺地町(青森県産業技術センター畜産研究所提供)
牛の首などにセンサーを付けて実施した試験研究=6月、野辺地町(青森県産業技術センター畜産研究所提供)
青森県産業技術センター畜産研究所(野辺地町)は、情報通信技術(ICT)を活用し、ストレスを軽減した県産和牛の肥育技術確立に向けた試験研究に取り組んでいる。生産効率化と共に、飼育環境に伴う動物の身体面や心理状態に着目する考え方「アニマルウェル.....
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 青森県産業技術センター畜産研究所(野辺地町)は、情報通信技術(ICT)を活用し、ストレスを軽減した県産和牛の肥育技術確立に向けた試験研究に取り組んでいる。生産効率化と共に、飼育環境に伴う動物の身体面や心理状態に着目する考え方「アニマルウェルフェア」(AW)に対応した飼養管理を徹底。同研究所は「生産力向上と安全性の高い県産牛の供給体制を強化し、輸出拡大につなげたい」と力を込める。[br][br] 近年、海外では食品の安全性に関する意識が高まっている。日本の農畜産物の輸出拡大を進める上で、品質や安全性の向上が課題となっている。[br][br] 農林水産省が示したAWの飼養管理指針では、家畜に快適な環境を与えることで健康を維持し、生産性の向上が期待されるとしている。安全な飼育管理を認定する日本独自の基準「JGAP」でもAWを必要項目に挙げている。[br][br] 試験研究は2019、20年度の2年間で実施。牛9頭を対象に、同センター工業総合研究所(青森市)が開発したセンサーを首や餌箱などに装着させ、餌や水を摂取する回数やタイミングを記録し、個体ごとの特長や測定の正確さなどを調べた。[br][br] 牛は、AWに基づく飼養管理方法でストレスの軽減度合いを見るため、環境の異なった部屋で比較。床に敷くわらの厚さや、冬季の飲み水の水温を変え、快適性を3段階に分けた部屋に3頭ずつ入れて育てた。[br][br] 快適性の高い部屋では、飲み水を温水にしてわらを厚くした一方、快適性の低い部屋では冷たい水を飲ませてわらを薄くするなど、快適性と行動量の関係を分析した。[br][br] 担当の河合紗織研究員(35)によると、データの測定は順調にできたが、現時点で飼育部屋ごとにストレスの大きな差異は見られなかった。[br][br] 現在はデータを精査中で、本年度内に行う同研究所の報告会で研究結果を発表する予定。今後、ICTによる牛の行動計測・可視化システムの開発と、AWに配慮した飼育の影響を明らかにしたガイドラインを作成する予定だ。[br][br] 河合研究員は「ICTでは牛の小さな変化を捉えることができる。少ない人手でも快適性の高い環境を生産現場に整えられる仕組みづくりを目指したい」と強調した。牛の首などにセンサーを付けて実施した試験研究=6月、野辺地町(青森県産業技術センター畜産研究所提供)