【八戸えんぶり】一斉摺り不参加の組「苦渋の決断」

来年予定する八戸えんぶりの一斉摺りでは、12組が参加を見送った。参加する組も安全対策に神経をとがらせながら晴れの舞台を目指す=2月、八戸市
来年予定する八戸えんぶりの一斉摺りでは、12組が参加を見送った。参加する組も安全対策に神経をとがらせながら晴れの舞台を目指す=2月、八戸市
毎年2月に開催される「八戸えんぶり」で最も注目を集めるのが、八戸市中心街で繰り広げられる各えんぶり組の競演「一斉摺(ず)り」。新型コロナウイルス禍の中、来年の開催が決定したが、八戸地域のえんぶり組37組のうち約3分の1に当たる12組が参加を.....
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 毎年2月に開催される「八戸えんぶり」で最も注目を集めるのが、八戸市中心街で繰り広げられる各えんぶり組の競演「一斉摺(ず)り」。新型コロナウイルス禍の中、来年の開催が決定したが、八戸地域のえんぶり組37組のうち約3分の1に当たる12組が参加を見送った。出演者の中に重症化が危惧される高齢者が多いことや、練習場所の3密回避が難しいことがネックとなり、関係者は「安全を確保できない」「苦渋の決断だ」と悔しさをにじませる。一方、参加する組も練習時の安全対策に神経をとがらせながら晴れの舞台を目指す。[br][br] 八太郎えんぶり組は、今月上旬に開かれた組の役員会で今年の活動休止を決めた。80代の参加者がいることに加え、多くの子どもも参加する50人ほどの大所帯で、練習場所での3密回避ができないことが大きな理由となった。[br][br] 代表の渡辺茂さん(65)は「町内に元気を与えるえんぶりだが、今年ばかりは仕方がない。まさに苦渋の決断」と話す。参加することで、会社を少なくとも1週間は休まないといけないメンバーもいたといい、「生活に影響を与えることはできなかった。この決断がコロナの沈静化につながってくれれば」と切実な思いを語った。[br][br] 参加を見送った別のえんぶり組の代表者も「練習場所が狭く、安全を確保することができなかった」と理由を語る。ただ、「活動はしないが、伝統の継承が途絶えないよう、組の新しい在り方を考えていきたい」と強調する。[br][br] 一方、参加する組も難しい判断を迫られてきた。売市えんぶり組で親方を務める佐藤直利さん(63)は「毎年、各組を取り仕切る『取締』の役割を担っており、その責任を果たすためにも参加の意向を出した」と言う。ここ数年は、参加するメンバーが少なく、感染の脅威からさらに減少することが危ぶまれており、「太夫が3人いれば、えんぶりが披露できる。できることをできる範囲でこなしながら、当日の参加を目指したい」と力を込める。[br][br] 関係団体は、来年1月中旬の感染状況を踏まえて開催可否を最終判断する方針。八戸地方えんぶり連合協議会の大館恒夫会長は「参加する21組の意向を尊重したい。感染状況的に開催が難しいのであれば、その時にやむを得ない判断をすることもあるが、今はリスクを減らして開催に向かっていきたい」と話した。来年予定する八戸えんぶりの一斉摺りでは、12組が参加を見送った。参加する組も安全対策に神経をとがらせながら晴れの舞台を目指す=2月、八戸市