【中間貯蔵共用検討】関電救済の狙い明らか むつ市長「地元軽視」

むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の共同利用案を巡り、記者会見する宮下宗一郎市長=17日、むつ市役所
むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の共同利用案を巡り、記者会見する宮下宗一郎市長=17日、むつ市役所
電気事業連合会が検討着手の方針を示した、原発を運営する電力会社による使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の共用策。池辺和弘会長は「業界全体で貯蔵の補完性、柔軟性を高める」と意義を強調するが、福井県から原発の再稼働同意の前提として、県外搬出先.....
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 電気事業連合会が検討着手の方針を示した、原発を運営する電力会社による使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の共用策。池辺和弘会長は「業界全体で貯蔵の補完性、柔軟性を高める」と意義を強調するが、福井県から原発の再稼働同意の前提として、県外搬出先の提示を求められている関西電力を救済するという狙いは明らかだ。一方、宮下宗一郎むつ市長は17日、一転して電事連との会談に応じる意向を示した。ただ、相談なく話が進む現状に「地元軽視の極み。地元の理解なくして物事は絶対に進まない」と反発した。[br][br] 電事連によると、9月末現在で敷地内の貯蔵施設の使用率が高いのは中部電力浜岡原発(86・9%)と九州電力玄海原発(84・9%)など。だが、両原発とも敷地内に新たな中間貯蔵施設を建設する計画で、直ちに敷地外へ搬出する必要性はない。[br][br] こうした中、関電は所有する全原発が立地する歴代の福井県知事から、県外搬出を求められてきた。背景には「使用済み燃料の中間貯蔵に対する(電力)消費地の分担」(西川一誠前知事)という考えがある。[br][br] 関電は管内を基本に候補地を探したが進展せず。しびれを切らした杉本達治知事は10月に高浜原発1、2号機の再稼働同意の前提が、県外搬出先の年内提示である―と明言した。[br][br] 電事連はむつ中間貯蔵の共用検討の目的が関電救済ではなく、「原子(核)燃料サイクルの確立に一層資する」と主張。梶山氏も「サイクル政策を推進する上で大きな意義がある」と同調するが、貯蔵場所の選定に苦慮しているのは関電1社しか見当たらない。[br][br] 宮下市長は17日夕、市役所で報道陣の取材に対し、梶山弘志経済産業相から直接電話があり、18日に電事連と会談する考えを明らかにした。[br][br] だが、「話を聞くからといって何か物事が進むということではない。これまで考えてきたことや今の立場を伝えることになる」とけん制。その上で「立地可能性調査から20年がたってもできていない事業が、新しい状況になること自体、なかなか理解に苦しむところがある」と苦言を呈した。むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の共同利用案を巡り、記者会見する宮下宗一郎市長=17日、むつ市役所