二戸の漆搔きユネスコ無形文化遺産に 国内22件目

日本一の漆の産地・二戸市で、漆を搔く工藤竹夫会長(日本うるし搔き技術保存会提供)
日本一の漆の産地・二戸市で、漆を搔く工藤竹夫会長(日本うるし搔き技術保存会提供)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は17日、オンラインで開いた政府間委員会で、日本が申請した二戸市の漆搔(か)き技術を含む「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録を決めた。宮大工や左官職人らが古くから継承して.....
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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は17日、オンラインで開いた政府間委員会で、日本が申請した二戸市の漆搔(か)き技術を含む「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の無形文化遺産登録を決めた。宮大工や左官職人らが古くから継承してきた17分野の技術の価値が世界的に認められた。委員会最終日の19日にリストに記載され、能楽や和食などに続く国内22件目のユネスコ無形文化遺産となる。[br][br] 17分野は漆生産や木工、左官、瓦屋根やかやぶき屋根、建具や畳の製作のほか、建物の外観や内装に施す装飾や彩色など。木や草、土といった自然の素材を活用し、奈良・法隆寺に代表される日本の伝統的な建築文化を支えてきた。[br][br] 日光東照宮(栃木)や中尊寺金色堂(岩手)、白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)などでも、こうした技術が生かされている。2016年の熊本地震で被災した熊本城の塀ややぐらの再建など、近年多発する自然災害からの復旧工事にも欠かせない。[br][br] 各国が申請した候補を事前審査するユネスコの評価機関は今年11月、大工の棟梁らが「弟子を鍛え、知識や技術を伝えてきた」と価値を認め、登録を勧告した。一方、近代化で後継者育成が難しくなっているとして保護の必要性にも言及した。[br][br] 17分野は全て国の「選定保存技術」で、日本うるし搔き技術保存会(二戸市、工藤竹夫会長)や日本伝統建築技術保存会(大阪府東大阪市)、全国社寺等屋根工事技術保存会(京都府)など14の保存団体が認定されている。職人の高齢化が深刻な分野も目立ち、登録で技術の重要性が広く知られ、人材確保にもつながると期待されている。[br][br] 日本うるし搔き技術保存会理事で、岩手県浄法寺漆生産組合の泉山義夫組合長は取材に「私たちの漆搔き技術が無形遺産に登録され、大変喜ばしい。誇りを持って技術を磨き、後世に伝えていきたい」と話した。[br][br] ユネスコ無形文化遺産を巡っては、登録遺産の数が多い日本の候補は2年に1回の審査となっており、決定は「男鹿のナマハゲ」(秋田)を含む18年の「来訪神 仮面・仮装の神々」以来。16年には、八戸三社大祭など各地の祭りで構成する「山・鉾ほこ・屋台行事」が登録されている。[br][br] 次の候補として政府は豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊」を申請しており、22年に可否が決まる見通し。日本一の漆の産地・二戸市で、漆を搔く工藤竹夫会長(日本うるし搔き技術保存会提供)