使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)などで取り出したプルトニウムを通常の原発に使うプルサーマル計画の実質後退を17日に表明した電気事業連合会。だが、原発再稼働が進まない中で新たな計画の足元は脆弱(ぜいじゃく)だ。プルトニウム保有量削減という課題に向き合えば、再処理工場がフル稼働できない可能性も高まってくる。[br][br] 日本が国内外に保有するプルトニウムは約45・5トン(うち核分裂性は約30・1トン)。従来の計画で目指した16~18基で導入すれば核分裂性を最大で年間約6・5トン消費できるが、原発の新規制基準が施行されて7年が経過した現在までに再稼働にこぎ着けたのは4基のみで、消費量は2トン程度にとどまる。[br][br] 計画見直しは、最大で年間4トン強の核分裂性プルトニウムを取り出す再処理工場にも影響しかねない。前の計画では約6・5トンとの差し引きで保有分を消費する算段だったが、導入規模が12基に縮小する中でフル稼働と保有量削減を同時に進めるのは至難の業だ。[br][br] 裾野を広げる展望も見えない。計画対象のうち、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を全炉心に装荷できる電源開発大間原発(大間町)は建設中で、原子力規制委員会の審査長期化に伴って運転開始を2028年度頃に延期したばかり。[br][br] 他の原発では肝心の地元同意が白紙に戻るなど不透明なケースも多く、3~4基と位置付けられる東京電力に至っては福島第1原発の廃炉作業が目下の課題だ。[br][br] 「(国内より保有量が多い)海外を先に使うか、六ケ所を先に使うかという色付けは今のところ考えていない」[br][br] 電事連の池辺和弘会長はは17日、梶山弘志経済産業相との会談後に「12基は当面の目標。その先に16~18基を目指しており、下方修正したものではない」と答えるのが精いっぱいだった。