陸奥湾産ホタテ水揚げ大幅減、コロナで販売単価も下落で二重苦

陸奥湾で水揚げされるホタテガイ。今年は水揚げ量、販売価格共に落ち込む=11月25日、野辺地町
陸奥湾で水揚げされるホタテガイ。今年は水揚げ量、販売価格共に落ち込む=11月25日、野辺地町
養殖を中心とする陸奥湾産ホタテガイの今年の水揚げが、大きく減少している。海水温の上昇やサンカクフジツボの付着でへい死した貝が多かったことが理由で、湾東部の漁協では昨年から半減した所も出ている。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大で消費が落ち.....
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 養殖を中心とする陸奥湾産ホタテガイの今年の水揚げが、大きく減少している。海水温の上昇やサンカクフジツボの付着でへい死した貝が多かったことが理由で、湾東部の漁協では昨年から半減した所も出ている。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大で消費が落ち込み、販売単価も下落。漁業関係者からは「(水揚げ減と単価安の)ダブルパンチを食らった」「来年までには回復してほしい」と切実な声が上がる。[br][br] 青森県産業技術センター水産総合研究所などによると、ホタテガイは湾内の海水温が20度以上で活動が鈍くなり、25度を超えると餌を食べなくなるため、生後1~2年後の出荷に適した大きさになる前にへい死する個体が多くなる。昨年は高水温の期間が例年よりも長く、20度を切ったのも10月に入ってからだった。[br][br] 貝の縁や表面に付着するサンカクフジツボも発生。付着で成長が阻害されて異常個体が多くなり、へい死を引き起こす要因になった。湾内全体では11月10日現在の水揚げ量が約7万トンで、前年同期の8万7500トンを下回っている。[br][br] 特に湾東部の影響は顕著で、野辺地町漁協は10月末時点での水揚げ量が約千トンと前年同期の約2千トンから半減。横浜町漁協も約5千トンから約3千トンへと落ち込んだ。横浜町の漁業関係者は「今年は全然取れなかった。ゆるくない(大変だ)」と嘆く。[br][br] さらに、漁業者への追い打ちとなったのが、ホタテの取引価格の下落だ。国内の主な産地の北海道が今年は豊漁だったことに加え、新型コロナの影響で中国などに輸出できず、「市場にあふれる状態になった」(漁業関係者)。必然的に単価も安くなり、養殖ホタテでは昨年1キロ当たり平均150円だったのが、今年は100円まで落ちるケースもあった。[br][br] 県漁連がまとめた10月末時点での県内全体の売り上げは約82億円で、前年同期の116億円から減少。ホタテ課の担当者は「100億円を切ったのはここ数年なかった。まれに見るようなひどい状況だ」と説明する。野辺地町漁協でも例年8億~9億円の売り上げがあるが、今年は10月末時点で4億円にとどまった。[br][br] 関係者は状況の改善を望んでいるが、来年も水揚げ量についての見通しは暗いという。今年も海水温が高く、フジツボも2年連続で発生。また、新たにマダコによる食害も確認された。漁業者は「来年も水揚げは厳しいだろう。せめてコロナの不安がなくなって値段が戻ってくれればいいが」と願っていた。陸奥湾で水揚げされるホタテガイ。今年は水揚げ量、販売価格共に落ち込む=11月25日、野辺地町