青森、岩手の秋サケ 今年はさらに不漁/海水温高め影響か

八戸港に水揚げされたサケ=11月26日、八戸市第3魚市場
八戸港に水揚げされたサケ=11月26日、八戸市第3魚市場
青森、岩手両県の秋サケ漁が、低調だった昨年をさらに下回る不漁に見舞われている。主力の太平洋沿岸で海水温が高めに推移していることなどが影響しているとみられる。行政側は海で取ったサケを採卵用に内水面漁協へ提供する「海産親魚」の事業を強化し、資源.....
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 青森、岩手両県の秋サケ漁が、低調だった昨年をさらに下回る不漁に見舞われている。主力の太平洋沿岸で海水温が高めに推移していることなどが影響しているとみられる。行政側は海で取ったサケを採卵用に内水面漁協へ提供する「海産親魚」の事業を強化し、資源回復を目指す考えだが、海、川共に振るわない中、親魚をいかに確保するかが課題となっている。[br][br] 青森県の2020年度サケ速報(11月20日現在)によると、太平洋側は沿岸が漁獲量257トン(前年同期比51・9%減)と半減。金額も2億3035万円(40・1%減)と落ち込む。川も捕獲個体数7494匹(47・7%減)と振るわず、採卵数は川と海で計639万5千粒(55・4%減)にとどまる。[br][br] 11月26日に定置網のサケを八戸港に水揚げした漁業者は「昨年は10月には網に入ってきたが、今年は11月20日ごろから、やっと入り始めた」と漁期の遅れを指摘。市場関係者も「この時期だと昨年は毎日のように水揚げがあったが、今年は3日に1回程度のペースだ」と口をそろえる。[br][br] 不漁の原因について、県産業技術センター内水面研究所(十和田市)の担当者は、16年ごろから冷たい親潮の勢力が弱まり海水温が上昇したことで、サケの稚魚が海で育たず、回帰率も著しく低下した可能性を指摘。リスク分散の観点から稚魚の放流期間を長くするほか、育成期間の延長、放流時期の見直しといった対策の必要性を指摘する。[br][br] 県側は来年以降の回帰率向上に向け、海産親魚の取り組み強化を図る考え。だが、海、川共に不漁は年々深刻さを増しており、提供する個体数をどこまで増やせるか見通せない状況だ。[br][br] 水産研究・教育機構水産資源研究所(岩手県宮古市)の担当者は「太平洋側のサケの不漁は全国的な傾向」とし、「青森は奥入瀬川が後半に強い傾向がある。12月以降にどうなるか」と今後の動向を注視する。八戸港に水揚げされたサケ=11月26日、八戸市第3魚市場