“新卒バス運転士”育成に着手/岩手県北自動車

南部バスの運転士を目指して研修に励む澤口拓朗さん。岩手県北自動車は、将来の運転士として新規学卒者を採用する取り組みを進めている=27日、八戸市
南部バスの運転士を目指して研修に励む澤口拓朗さん。岩手県北自動車は、将来の運転士として新規学卒者を採用する取り組みを進めている=27日、八戸市
路線バス事業を展開する岩手県北自動車(盛岡市)は、新規学卒者のバス運転士を採用、育成する取り組みを進めている。旅客運送に必要な大型2種免許の取得条件がネックとなり、バス業界は若手ドライバーの確保に課題を抱えているのが現状。同社は環境の変化を.....
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 路線バス事業を展開する岩手県北自動車(盛岡市)は、新規学卒者のバス運転士を採用、育成する取り組みを進めている。旅客運送に必要な大型2種免許の取得条件がネックとなり、バス業界は若手ドライバーの確保に課題を抱えているのが現状。同社は環境の変化を受けて“新卒運転士”の養成制度を創設するなど、将来にわたり持続可能な公共交通の構築へアイデアを巡らせる。「南部バス」を運行する南部支社でも本年度、初の制度適用者となる澤口拓朗さん(22)=八戸市在住=が入社し、デビューに向けて奮闘している。[br][br] 道路交通法の規定では、大型2種免許の受験資格として、普通免許保有3年以上などが要件となる。現行では18歳で普通免許を取得しても3年間は路線バスの運転士になれないため、業界内は他業種からの転職を含めた中途採用がメインになり、ドライバーの高齢化が進んできた実情がある。[br][br] こうした状況を踏まえ、同社は新卒者対象の養成制度を2015年度に導入。学校を卒業したばかりの若者を“将来の運転士”として採用し、若手の人材確保を図るのが狙いだ。2種免許取得までの期間は、車両整備や運行管理などの業務に就かせている。本社での制度適用者は9人に上る。[br][br] 南部支社としては19年3月卒から募集を開始し、2年目で初めての採用に至った。高橋学支社長は「運転士の安定的な確保に向け、新卒者を採用していく。お客さまに愛されるプロフェッショナルなドライバーに育てたい」と強調する。[br][br] 南部支社管内で第1号となる澤口さんは、三八地域や岩手県北地方の一部を運行する八戸営業所に所属。北海道の釧路公立大を卒業後、地元・八戸に戻って今年4月に新卒で入社した。「子どもの頃からバスに親しみを感じて、純粋に運転士がかっこいいと思った。地元の公共交通機関に携わり、お客さまと最も近い所で仕事がしたい」と話す。[br][br] 整備士見習いとして約3カ月間働いた後、自動車学校に通って9月に大型2種免許を取得。同営業所での机上教習を経て、今月26日には公道での実車教習がスタートした。早ければ年内のデビューを目指す。[br][br] 教官の指導を受けながら研修に励む澤口さんは「バスの運転士は信頼ありきの仕事。一つ一つの動作を確実にし、乗車する全ての人に安心してもらえるようになりたい」と意欲満々だ。[br][br] 一方、今年6月公布の改正道交法では、2種免許の受験資格が見直され、普通免許保有1年以上などの要件に緩和された。公布から2年以内に施行される予定で、その後は19歳で2種免許の取得が可能になる。[br][br] 高橋支社長は「これまでは運転士になりたくても進学や違う職業を選ばざるを得ず、地元を離れてしまう若者も多かった。新卒者の選択肢を増やし、若い世代の人材確保や地元定着につなげたい」と話している。南部バスの運転士を目指して研修に励む澤口拓朗さん。岩手県北自動車は、将来の運転士として新規学卒者を採用する取り組みを進めている=27日、八戸市