旧南部鉄道の機関車、半世紀ぶりに故郷の五戸へ

五戸町が譲り受ける予定のディーゼル機関車「DC351」(町教委提供)
五戸町が譲り受ける予定のディーゼル機関車「DC351」(町教委提供)
五戸町は28日、1969年に廃止となった南部鉄道で貨物輸送などを担ったディーゼル機関車「DC351」を、現在所有する宮津海陸運輸(京都府宮津市)から無償で譲り受ける方針を明らかにした。同鉄道関連では現存する唯一の機関車が約半世紀ぶりに“帰郷.....
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 五戸町は28日、1969年に廃止となった南部鉄道で貨物輸送などを担ったディーゼル機関車「DC351」を、現在所有する宮津海陸運輸(京都府宮津市)から無償で譲り受ける方針を明らかにした。同鉄道関連では現存する唯一の機関車が約半世紀ぶりに“帰郷”する。早ければ来年11月ごろまでに運び込み、ごのへ郷土館での展示を想定。地元の人たちに愛された車両を生かし、地域のにぎわい創出につなげたい考えだ。[br][br] 町などによると、DC351は56年に製造され、同鉄道の五戸駅―尻内駅間で約10年間運行。同鉄道は68年の十勝沖地震で駅舎や線路が大破し、翌年に全線廃止となったが、DC351は67年に日本冶金工業(東京)に譲渡されていたため、被害を免れた。[br][br] その後は同府内で使用され、85年に役目を終えると、宮津海陸運輸が運営する「加悦SL広場」(同府与謝野町)で展示された。だが、同広場は施設の老朽化などにより、今年3月末に閉園。同社が車両の譲渡先を募っていたことから、町が6月に名乗り出て、今月26日に譲渡に関する確約書を受理した。[br][br] 車体は全長8・1メートル、全高3・6メートルと大きく、5日間程度かけて陸送する。輸送や展示用のレール設置には約1千万円が見込まれ、町は2021年度当初予算に関連経費を盛り込みたい考えだ。費用の見通しが付き次第、正式な契約を結び、運搬時期についても詳細を詰める予定。整備やイベント費用に充てるため、クラウドファンディングによる資金調達も検討する。[br][br] 同社の佐野博社長は取材に対し、譲渡の理由について「何度も声を掛けてもらうなど五戸町の熱い思いを感じた」と説明。「DC351にとっては“里帰り”となる。可能であれば屋根のある場所で保存してもらえれば」と話した。[br][br] 若宮佳一町長は「50年以上の時を経て五戸に戻るので、懐かしさを感じる町民もいるだろう。イベントを企画するなどして郷土館や地域の活性化につなげたい」と強調した。五戸町が譲り受ける予定のディーゼル機関車「DC351」(町教委提供)