県内初、人工の一卵性双子牛を出荷/東北町の農場

2細胞割球分離法などの技術で誕生した一卵性双子の子牛=2019年12月(小比類巻家畜診療サービス提供)
2細胞割球分離法などの技術で誕生した一卵性双子の子牛=2019年12月(小比類巻家畜診療サービス提供)
東北町大平の小比類巻家畜診療サービス(小比類巻正幸代表取締役)は、人工的な体外受精方法を用いて、一卵性双子の子牛(黒毛・雌)を生産し、今月初めて市場に出荷した。父は優良種雄牛「安福久」。市場関係者によると、人工の一卵性双子の子牛が市場で流通.....
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 東北町大平の小比類巻家畜診療サービス(小比類巻正幸代表取締役)は、人工的な体外受精方法を用いて、一卵性双子の子牛(黒毛・雌)を生産し、今月初めて市場に出荷した。父は優良種雄牛「安福久」。市場関係者によると、人工の一卵性双子の子牛が市場で流通するのは県内初で、全国的にも珍しいという。軌道に乗れば、良質な子牛の生産性向上につながることから、関係者の期待が高まっている。[br][br] 同社は牛の人工授精や受精卵移植などを手掛けており、自社農場では黒毛和牛を繁殖している。5年ほど前から、双子子牛の生産の研究に取り組んできたという。[br][br] 雌牛から卵子を採取し、体外受精させて受精卵を生成する技術を活用。さらに、受精卵の細胞分裂の過程で、二つに分裂した受精卵を分離させる「2細胞割球分離法」を用いることで、双子を人工的につくり出すことができるという。[br][br] これまでの体内受精による子牛の生産方法に比べ、人工的な採卵によって、短期間で受精卵を生成できるのがメリット。また、割球分離法のおかげで、生まれる双子の性別が雌雄混ざることなく、雄または雌同士の組み合わせに限定できるという。[br][br] 市場に流通した子牛は2018年3月に雌牛へ受精卵を移植。19年12月に双子が誕生し、順調に生育していた。[br][br] 今月9日に七戸町の県家畜市場で行われた子牛市場では、双子のよしひさ1509(298キロ)が落札価格133万円、しげひさ1510(308キロ)が123万円の高値で取引された。同日の雌の平均取引額は約60万円だった。[br][br] 初めての流通に市場関係者の関心も高く、小比類巻氏は「どう評価されるか心配だったが、いい値が付いて安心した」と胸をなで下ろした。[br][br] 一方、双子の出産のリスクや安定した受精卵の冷凍保存技術の確立など課題もある。小比類巻氏は「さらに技術の精度を高め、貴重な品種の繁殖や畜産農家の生産力向上につなげたい」と話した。2細胞割球分離法などの技術で誕生した一卵性双子の子牛=2019年12月(小比類巻家畜診療サービス提供)