【MOX工場合格】サイクル、多難な前途変わらず 完工延期は濃厚

MOX燃料加工工場の建設現場=6日、六ケ所村(日本原燃提供、画像の一部を加工)
MOX燃料加工工場の建設現場=6日、六ケ所村(日本原燃提供、画像の一部を加工)
原子力規制委員会が事実上の合格判断を示したMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料加工工場だが、事業者の日本原燃が2022年度上期を目指す工場完成時期は延期が濃厚。原発で再利用するMOX燃料を当面、製造できない以上、核燃料サイクル政策上.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 原子力規制委員会が事実上の合格判断を示したMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料加工工場だが、事業者の日本原燃が2022年度上期を目指す工場完成時期は延期が濃厚。原発で再利用するMOX燃料を当面、製造できない以上、核燃料サイクル政策上は再処理工場を稼働させてプルトニウムを取り出す合理性を欠く。サイクルを取り巻く多難な前途は変わらないのが実情だ。[br][br] MOX工場の建設工事は審査による手戻りを防ぐため実質止まり、新規制基準への対応を加味しない範囲に限っても進捗しんちょく率は約1割(9月末時点)にとどまる。[br][br] 今後は安全対策工事に向けた詳細設計の認可(設工認)や実際の工事も必要で、増田尚宏社長は「審査が終わってから、もう一度(工程を)精査する」と完成目標の見直しを示唆する。[br][br] 原燃は6年9カ月に及ぶ審査の中で、MOX工場の完成時期を3回にわたり延期した。再処理と違って重大事故対策が火災防護に限られる中、「想定外を想定する考え方が止まっていた」と振り返った増田社長。[br][br] ただ、規制委内からは議論が先行した再処理審査を「応用問題的に考えていなければならなかった」(原子力規制庁の審査担当者)と、原燃社内の連携不足を要因に上げる声も上がっていた。[br][br] 再処理で取り出すプルトニウムを原発で再び燃やすプルサーマルにとって、燃料加工という形で結節点を担うMOX工場は「再処理と一体のため、両方できなければ意味がない」(原燃関係者)。プルサーマルを実施する原発の再稼働も進まず、サイクルの合理性を疑問視する声は絶えない。[br][br] 「サイクルは原子力のメリットを享受するために必要な仕組みだ」。9月末の記者会見でこう強調した増田社長だが、今後も難しいかじ取りが続きそうだ。MOX燃料加工工場の建設現場=6日、六ケ所村(日本原燃提供、画像の一部を加工)