原子力規制委員会は7日の定例会合で、日本原燃のMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料加工工場(六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書案」を了承した。原燃の申請から6年9カ月を経て、審査に事実上合格した。経済産業相への意見聴取、一般からのパブリックコメント(意見公募)を実施して正式に合格する見通し。[br][br] 原燃は2022年度上期の工場完成を目指しているが、安全対策工事に関する詳細設計の認可(設工認)審査なども今後必要となる。建設工事そのものが序盤にとどまっており、目標達成は厳しい。青森県内の原子力施設で審査書案がまとまったのは5例目。[br][br] 規制委は96回の審査会合と3回の現地調査を実施。MOX粉末を扱う密閉装置(グローブボックス)で火災が起きた際、閉じ込め機能が喪失するケースを重大事故として想定し、遠隔消火装置の設置といった原燃の対策を確認してきた。[br][br] 臨界については「複数回の誤操作などを想定しても発生は想定できない」と結論付け、自然災害対策に関しては隣接する使用済み核燃料再処理工場と同様、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)を700ガルとした。[br][br] 規制委事務方の原子力規制庁が提示した審査書案に異論は出ず、委員5人が全会一致で了承した。原燃は「大きな前進であり、引き続き合格に向けて全力で取り組む」とのコメントを発表した。[br][br] MOX燃料加工工場は10年10月に着工。再処理工場で取り出したプルトニウムを原発で再利用するための燃料に加工する。再処理工場と並んで核燃料サイクルの中核を担う。